江戸時代の化粧の色 お歯黒 ⑤ 映画やテレビでは、お歯黒はほとんどみかけなくなりました。 | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆昭和30年代までは、お歯黒と眉化粧を再現した映画もありました。

 

こんにちは、山村です!

 

現代のテレビでは、まず考証されない

女性のお歯黒や眉そりですが、

映画ではたまに見ることができます。

その多くは、昭和30年代までの作品

といえるでしょう。


今回は、DVDで発売されていて、

レンタルもできそうな有名作品を3本選びました。

 

まずは昭和28年(1953)の

溝口健二監督作品、

『雨月物語(うげつものがたり)』(大映配給)ビックリマーク

 

設定は戦国時代。

大映の看板女優京マチ子が、

主人公の源一郎を誘惑する

美しい姫君(実は死霊)を演じています。

 

京マチ子は、

額の上方に大きな楕円の眉を描いていました。

 

楕円の眉は、

身分の高い武家の姫君という

役どころをあらわしていたのでしょう。

 

この場合、お歯黒をつけていてもいい

と思うのですが、

看板女優として美しさを優先したためか、

そこまではしていません。

 

次に、既婚女性の

眉そりとお歯黒化粧がみられるのが、

昭和37年公開の『椿三十郎』(東宝配給)ビックリマーク
いわずと知れた黒澤明監督の作品で、

主演は三船敏郎キラキラ


時代は江戸時代。

三船敏郎演じる椿三十郎が、

血気盛んな若い武士たちを助けて、

大目付の陰謀を阻止するお話ですビックリマーク

 

このなかで、

軟禁された城代家老の老妻を演じたのが、

往年の大女優入江たか子。

眉がなく、お歯黒をしっかりつけています。

 

近年の作品では、

平成27年(2015)に公開された

『駆込み女と駆出し男』(松竹配給)音譜


天保12年(1841)から2年間の話で、

幕府公認の縁切寺として知られた

鎌倉の尼寺、東慶寺が舞台。


そこに駆け込む女たちの

悲喜こもごもの生きざまが、

寺に出入りする医者見習い伸次郎との

エピソードを通して描かれています。


この作品で、日本橋の唐物問屋のあるじ

堀切屋三郎衛門の妾(めかけ)、

お吟(おぎん)を演じたのが満島ひかり。

彼女は東慶寺に駆け込むまで、

お歯黒をつけた

既婚女性の化粧をしていました。

 

カラーで見ると、

お歯黒をした化粧が

どのようなものかがよくわかります。

眉も、特殊メイクで少しつぶしているようにも見えますが…。

 

どの映画もおもしろく、

見て損はない作品だと思います。

 

このほか、歌舞伎では、

現在でも既婚女性役や

平安貴族などの役のときには、

舞台用のお歯黒をつけていますし、

京都では襟変え前の舞妓さんが

お歯黒をつけることもありますビックリマーク

 

一般にはすたれてしまった

お歯黒や眉そりですが、

わずかに伝統芸能などの世界では

残っているのですラブラブ

 

次回は4月21日にお知らせを更新予定。