江戸時代の化粧の色 お歯黒 ④ 五倍子の代用品は、近くの里山から調達していました! | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆山野にあるキブシやヤシャブシの実も代用品でした!

 

こんにちは、山村です!

今回は、お歯黒の材料のひとつ、

五倍子の代用品について説明します。

 

前にも述べましたが、

お歯黒の黒は、ヌルデに寄生した

アブラムシがつくる虫こぶ(五倍子<ふし>)

を粉にした五倍子粉(ふしのこ)と、

お歯黒水を交互に、

あるいは混ぜて歯に塗り、黒い色を出しますビックリマーク

 

材料のひとつである五倍子粉は、

専門店や小間物屋、生薬屋、

楊枝店(ようじみせ)などで

販売されていましたが、

代用品もありました!!

 

代用品となる条件は、

五倍子のように、

タンニンを多く含む植物であることニコニコ

 

その代表格は、

黒色の染料として使われていたキブシの実ですキラキラ

キブシは北海道の一部、

本州、四国、九州と、

全国的に広く分布しています。

 

キブシは春に花が咲き、

秋になると小さなブドウのような実をつけます。

この実を採取して乾燥させ、

粉にして使っていたのです。

 

長沢武氏の『植物民俗』によると、

キブシのほかにもヤシャブシや

ハンノキの実なども代用品として

使われていたそうです。

 

お歯黒は週に何度もつけるため、

材料を買わなくてすめば、

経済的にも助かります。

 

五倍子粉やヌルデの虫こぶが

手に入らない地域では、

山野にある植物から、

五倍子の代わりになるものを探し出し、

お歯黒の材料にしていたのでしょうビックリマーク

 

下の写真は、

ハチジョウキブシ(八丈木五倍子)の花!

 

 

ハチジョウキブシはその名のとおり、

1921年に八丈島で発見された

キブシの変種で、

その実は、五倍子の代用にされていた

といわれています。

 

撮影した新宿御苑では、

見頃を迎えた桜の木々に交じって、

1本のハチジョウキブシが花をつけていましたドキドキ

 

薄黄色の小花の房が、

枝という枝から垂れ下がり、

なかなかの迫力。

 

桜目当ての花見客に「こっちも見てよ」

と誘いかけているようでした爆  笑

 

次回は、

お歯黒や眉そりをした女性が登場する映画

についてご紹介します。

 

4月19日更新予定。