江戸時代の化粧の色 お歯黒 ① 現代とは全く異なる、歯を黒く染める美意識 | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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お歯黒は結婚した女性のしるし、女性の通過儀礼のひとつでした!

 

江戸時代には、

主に女性がおこなっていたお歯黒化粧ビックリマーク

その名のとおり、

歯を真っ黒に染める独特の化粧です。

 

現在では、テレビの時代劇でも、

女性のお歯黒は、

まず見る機会はありません。

 

女優さんの所属事務所でも

OKは出さないでしょうし、

視聴者も、あこがれの女優の

真っ黒な歯など見たくはないでしょう。

 

現実問題として、今、

テレビでお歯黒をした女性がいたら、

それを見て恐怖で大泣きする子どもが

続出しても不思議ではありません。

 

ただし、映画については、

数は少ないですが、

お歯黒や眉そりをしたものもあります。

代表的なものは、

近いうちに改めて紹介する予定ですビックリマーク

 

ともあれ、白い歯を美しいと考える

現代の美意識からすると

異様に思えるお歯黒ですが、

江戸時代には、

女性の未既婚の区別をあらわす表示機能

を持っていました。

 

基本的に女性は、

結婚が決まるとお歯黒をつけたのです。

 

お歯黒の色である黒は、

それ以上染まらないので、

夫への貞節を表す意味があった

ともいわれています。

 

それだけでなく、江戸時代には、

子どもができると、

今度は眉をそり落しました。

 

これも今の時代劇ではまず見られませんが、

それはお歯黒と同様の理由だと思われます。

 

下の写真はお歯黒と眉そりをした女性。

こんな感じになるわけですニコニコ

 

(「浮世人精天眼鏡」より 五渡亭国定画  国立国会図書館所蔵)

 

江戸時代、女性は数えの15~18歳くらいで

結婚するのが当たり前。

 

数えというのは、

生まれたその年を1歳と考え、

その後は正月が来るごとに1歳プラスする数え方ビックリマーク

 

今の数え方の満年齢からすると、

さらに若いわけですが、

それでも20歳になると

年増といわれるのですからたまりませんショボーン

 

たとえ結婚していなくても、

江戸では18、9歳になるとお歯黒をつけて、

眉を剃り落していたと、

『守貞謾稿(もりさだまんこう)』

に書かれています。

 

江戸では18、9歳になる頃には、

世間体を気にして

歯を染めたということでしょう。

京都や大坂はもう少し遅かったようですが…。

 

逆に、15から17歳くらいだと、

老けてみえるのをいやがって、

結婚後もしばらくは

歯を染めなかったともあるので、

女心は微妙です爆  笑

 

いろんな意味で、

18歳あたりが年貢の納め時だったようですね!!

 

既婚女性にとっては

必需品だったお歯黒ですが、

材料や成分については次回に。

 

次回は4月11日を予定しています。