心に残っている生徒ー6浪した女の子 | 山本先生

心に残っている生徒ー6浪した女の子

今も昔も

医学部受験は超難関です.

 

山本が代々木ゼミナールに講師採用されて最初の年,

担当したクラスの一つ「私大医学部クラス」に

その時点で6年目の浪人生活に入る女の子がいました.

さすがにその当時は(今でも)

医学部を目指して6年頑張る人はめったにいないし,

ましてやそれが女の子だというのはかなり特殊で,

数学を担当する山本も

なんとか医学部に合格するだけの力をつけてあげたいと

思ったものです.

 

彼女は都立国立高校(くにたち)を卒業していて,

この高校は都立高校の中ではトップ5に入る進学校ですから,

本来もっている能力的には

私大医学部合格の力をつけるのは

それほど問題ないはずなのですが,

彼女の勉強の仕方は高校の教科書と予備校の教材中心で,

予備校の問題を解いて,

わからないところは教科書で基礎を確認するというスタイル.

 

これはとてもいい勉強法なのですが

彼女の弱点は

教科書の問題と予備校のテキストの問題は

完璧に解けるようになっていても,

「その知識を別の問題に応用する力を身につけるのが勉強」

ということを理解していないことでした.

 

なので山本は彼女に青チャートを買ってこさせ,

2回目の授業からは常に

授業内容に関連する青チャートの類題に印をつけ,

次回までに解いてくるように指示しました.

 

最初は怪訝そうな顔で毎回解いたノートを

講師室の山本のところに持ってきていたのですが,

3週間ぐらいして

「先生,私にはこの勉強の仕方とても合っています.

授業でやった問題とは少し違った問題を解くことで

実はどの問題も考え方が同じだということがわかってきました.」

と言ってきたのです.

 

それからは彼女にやらせる問題を3倍に増やし,

授業で扱った問題だけでなく

さまざまな単元についても解かせるようにしました.

 

その結果はすぐに表れて

6月の模試では偏差値52➡62に急上昇.

それを見た周りの生徒たちも

彼女と同じように

講師室に青チャートを持ってきて

列をなしながら

課題の問題をどう解いたかなどを話し合っていました.

 

その後彼女は順調に成績を伸ばし,

6年間の浪人生活を経て

東京医科大学に合格.

そして今は東京医科大学の教授をしています.