【サハラマラソン挑戦記 レース ステージ1】
2017/4/9/9:00~ 
30.3km (10h)

いよいよ、レースが始まります。
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この数日でテント生活にもだんだん慣れてきて、日の出とともに目が覚めるようになってきました。今朝も6時のアラーム前には起きていました。

サハラマラソンでは6:30~7:30の間に、1.5Lの水が入ったペットボトルが配給されるのですが、これを取らなければCP1(チェックポイント)までは水がない状態になります。寝坊は許されません。確実に受け取る必要があります。


そして、朝8:20。レースのスタートは9時にもかかわらず、「スタートラインに集まれ」と号令がかかりました。

行ってみると集合写真の撮影があり、主催者のパトリックからの話があります。後々知っていくことになるのですが、この大会の名物「パトリック節」が炸裂するんです。



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レースに関する注意事項はほどほどで、参加者のなかで誕生日の人の名前と年齢を読み上げていきます。そして「みんなでお祝いしよう」と言って、ハッピーバースデーの曲を流して歌でお祝い。

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これを毎日スタート前にしていたのですが、暑いなか、荷物を持っているのでドンドンと歌声も聞こえなくなっていく…。

みんな「初日の人はラッキーだった」と思っていたはずです。


9時が近づき、ついにスタート!

不思議と緊張感はありませんでした。それより自分に言い聞かせていたのは、とにかく「最初に無理をしない」ということ。

練習でも最初に調子よく飛ばして後でダウン…ということもあったので、初めての経験ですし、とにかく慣れることを一番に考えていたのです。

そのため、スタートしてもまずはいつもより少しゆっくりなペースで歩き始めました。最初のチェックポイント(以下CP)まで13km。

「どんなところを行くのだろうか…」

手渡された「ロードブック」には細かな説明や絵が書いてあったのですが、正直ピンと来ない! これはもうレースが終わるまで、ピンと来なかったのですがw


実際には、最初のうち平坦な道が続きました。

こう書くと、楽そうに思われるかもしれませんが、地面はアスファルトではなく、締まった砂とゴツゴツした石が一面に広がっています。

この石を踏んでしまうとバランスを失いやすく、万一にもつま先に当たってしまうと、すごく痛いんです。だから石が多い道は、大嫌いでした。

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それでも砂漠の道に入っていくと、石のある道さえも好きになっていきます。

「これが砂漠道か…」

足をとられるどころの騒ぎではなく、一歩一歩が進んでいるようで、なかなか前に進まない…。登り坂になるとさらに進まない…。

砂の上手な歩き方をかなり後になって体得したのですが、初めの頃はどうしても力で進もうとします。だから進まないし、疲れるし…の繰り返しでした。

力で進めるだけの筋力があれば問題ないのかもしれませんが、現役の頃と違う僕にそれを望むのは無理で、CP1までの13kmをかなり遠く感じていました。


このときは何よりも荷物の重さが肩にズシッとのしかかってきていたんです。

「もう肩に来たの? 早いよ」

心のなかでそんなことを言っても、肩の痛みは止まらない…。ドンドン痛くなる感覚がありました。

「これ、ヤバイかも…」

早くもそんな感覚が頭をよぎりましたが、まだ始まったばかり。いくらなんでもここでギブアップするわけにもいかず、気を取り直して進んでいきました。


ようやくCP1までたどり着き、ここでお水を3L(2本)もらいました。

1本は両肩の前にあるドリンクホルダーに入れ、もう1本はお腹の前あたりに取り付け、ここで一旦休憩。荷物を降ろして、15分ぐらい休むことにしました。

携行食を少し食べ、水を飲みながら、まわりの参加者と話してみると、「肩痛いよ…」と言っていたので少し安心できました。僕だけじゃなかったんです。


次のCPまで10km。まっすぐと広大な土地が続いていきます。見渡す限りの荒野で、なかなか見ることのできない景色に感動しながら歩を進めていきました。



この大会は、とにかく大自然のなかで行われているので、人工物を目にすることが一切ありません。

道もなければ、家もない。電信柱もなければ、コンビニだってない。僕が理事長を務める「インド福祉村病院」が都会に思えるほどでした。

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自然の豊かさに感動しながら進んでいくと、CP2も過ぎ、この日のキャンプ地(以下ビバック)まで後7kmと表示されています。

もうゴールは目の前のような気がしてきました。ところが、ここでサハラマラソンのトリックにハマってしまったのです。


もうすぐ → もうすぐじゃない

近そう → 近くない

丘の向こうにゴール → 登ってもゴールはない

見えてる → 見えなくなる

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そうです、主催者のパトリックは、チェックポイントやビバックをあえて見えにくい位置にコース設定することで有名だったのです。

こうすることで、ランナーたちを精神的に追い込み、より過酷なレースにしているらしい…。

ドS、いやパトリックなので、ドPか、なんて話で盛り上がっていました。


話は戻りますが、もうすぐな気がするときは、もうすぐじゃないんです…。肩の痛みはだんだん限界に近づき、太ももやふくらはぎも痛みを感じはじめました。

体中に痛みをかかえ、どうにか最初のゴール。30.3kmを6時間半ほどで終えることができたのです。

初日にリタイアしなかったことにホッとしつつ、ここから先のレースを思うと不安な気持ちも芽生えていました。

痛み: 両肩、モモ裏
足: いたって問題なし

レース前

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ステージ1 後

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<続く>