という歌声やBarca, Barca, Baaaaaaaaarca!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(本来Barcaはcではなくて、cの下にちょろっと髭がついているようなもの)
という叫び声が、
爆竹や、笛や、車のクラクションなどの喧騒とともに街中に響きわたっていた。
昨日は、バルセロナに住んで3年目になるが、この街が一番騒がしかった一日だと思う。
そう、何故ならCLで優勝を決めたからであるし、
さらに言うと、CL優勝+スペインリーグ優勝とスペイン国王杯優勝というスペイン史上初の3冠という快挙を成し遂げた日であるからだ。
普段からサッカーを詳しくフォローしているわけでもないので、大ファンです!などというつもりは全くないが、
さすがにバルセロナに住んでいる者として、この日のこの試合を見逃すわけにはいかなかった。
結果は、2-0でFC Barcelonaの圧勝。
得点が決まった瞬間はもちろんだが、試合中ずっとあちこちのBarでファンの声が響いている。
まさに老若男女、みなそれぞれ声を張り上げて、Barcaを応援している。
そして試合後、その場で一盛り上がりした後、誰彼ともなく皆ぞろぞろと歩きだす。
向かう先はもちろん、Plaza Catalunya。
ここは、バルセロナの街の中心地の一つであり、夏シーズンでの人の多さは、まるで渋谷の交差点のようっと形容できるぐらい人の行き交いがある場所だ。
Barで観戦し終わった後、のんびり家で過ごそうかと思い家に帰ってきたが、
周りの車のクラクションや花火や人々の叫び声があまりに大きいのと、
こんな光景は当分ないかもしれないっという怖いもの見たさの誘惑に負け、
僕も地下鉄に乗り、Plaza Catalunyaへと向かった。
ここからが本当の驚きと興奮の始まりである。
まず、電車がホームへ入ってくる際、普段なら列車のうめき声のような軋み音と共に入ってくるだけだが、
この時は、それが聞こえないぐらいの汽笛と共に入ってきた。
理由は、ホームで電車を待ち構えている人たちに向けての挨拶だ。
その地下鉄をホームで待つ人々は旗を振り、歓声で出迎える。
普段バルセロナで満員電車なんてあまり遭遇することはないのに、
車内はすでにBarcaカラーの人々で埋め尽くされた地下鉄は、僕の乗った駅でさらに込み合い、
ベージュのシャツを着ていた僕は、足を踏み入れたドア付近で立って様子を伺うしかなかった。
そして、次の駅へ向かうはずなのだが、なかなかドアが閉まらない。
その間も人々は合流した人々を歓迎してか、車内で大合唱を始める。
とにかく歌うし、同時に車内を打楽器代わりに叩く、そして何よりもビックリしたのが、
車内で飛び跳ねる飛び跳ねる!!
もう全員で飛び跳ねているので壊れちゃうんじゃないかって思うほど。
ドアが閉まったら落ち着くかなっと思いきや、彼らは止めない。彼らを止められない。今の彼らは無敵中の無敵であると思う。
次々に色々な掛け声から応援歌が始まり、みんなで手を挙げ、電車の壁や天井を叩く。
そして、やっぱり飛び跳ねる。止まっている時ならまだいいが、走っている時にやられるのは正直言うと少し怖い。
しかし、それよりもそんな光景が面白く、
こんな状況にめぐり合えた事を僕はとても幸運に思う。
人々が幸せに熱狂する様子を間近で見て、聞いて、感じて、それを体験できる事は素晴らしい経験だと思う。
そして、電車は進み、目的の駅へ到着。
ほぼ9割の乗客はその駅で降り、地上へ出る時も旗を振り、歌いながら歩いていく。
地上へ出て、目的地まで続く直線距離約300m。
普段は車の通りが激しい道だが、動いてる車は一台もいない。
不思議に思って前を見てみると、そこには遠巻きにでも人々の群集の一部があるんだと分かる。
つまり、その中心地にはとてつもない人たちが集まっていて、とても車なんて通れる場合ではない事が容易に想像ついた。
歩きながら周りでは爆竹や花火の音が、ヨーロッパの街の石造りの構造と乾いた空気のためか、
爆竹がパンッと弾かれてから、音が広がり反射する様子が
日本で聞くものよりも、大きく冷たい破裂音がし、より大きな衝撃な印象を受ける。
独りでその群集に向かって歩いている僕はかなり物好きなんだなっと思いながらも、
ドキドキする気持ちを抑えることができない。
そして、そのドキドキはきっと爆竹のあの冷たい破裂音によって倍増されているのだと気付いた時には
すでに僕はその群集の一部となっていた。
友人たちがその広場になっている一部のモニュメントの銅像付近にいると連絡があったのだが、
その場所まで行けたとしても、友人がどこなのか探し当てるのはほぼ不可能だろうと諦めていた。
出来れば合流して、おめでとうを言いたかった。しかし、どうやって表現していいのか分からないぐらいの人の多さなのだ。
とにかく、探す事は二の次にして、この情景を楽しもうと思い広場を一周ぐるりと見わたすことにした。
バルセロナ市民全体が集まってきてるんじゃないかって思うほどの多さにもビックリだが、
何よりも9割の人はあの濃紺と小豆色を身に纏っている事が
その景色の印象をより強固なものにしている。
ヨーロッパ特有の橙色の電灯から灯される下にツートンカラーでうごめく群集。
こんな光景は今まで見たことがないって思うぐらいである。
そして、歩いていると左手前方からは赤い煙がもくもくと立ち込めている。
白煙筒だ。いや、赤煙筒か。
つまり、よく昔ヨーロッパのサッカーの試合では必ずあった「あれ」である。
また、広場の中心地はステージが組まれてあって、ここで今日の試合を見れるようになっていたんだなっと想像がつく。
しばらく、歩きながら色々な場所を見ていたが、広場にあった小さな池みたいなところに人々が飛び込んでいる様子を見て、
彼らが大阪の人が阪神タイガースが優勝したら道頓堀へ飛び込むことを知っているとはとても思えないので、
姿形や文化は違えど、人間には世界共通の行動原理が働いてるんだろうかっと面白かった。
人間は、ある一定の集団で共通の喜びを分かち合う時は、水と戯れたくなる生き物なのか?
そうこうしている内に何とか友人たちとの集合場所までやってきた。
見つからないだろうなっと思っていたのだが、それは杞憂に終わった。
何故なら友人の一人がモニュメントの上に立っていたからだ。
とにかくみんなと合流できて、ホッとしたことと、カタランの友達におめでとうを言えたことで、
それまでの緊張をほぐすことができた。
そして、友人からそこに登って景色を見てみなと勧められたので、登ってみたのだが、
そこからの景色をどうやって言葉で説明していいのか難しいのだが、
簡単に言うならば、昔の資料映像とかで流れる革命がおきて勝利した時の市民の集まりの映像に似ているっとでも言えばいいのか。
同じカラーを身に纏い、シンボルマークの描かれた大きな旗をかかげ、煙や花火を上げ、そして、何よりも人々の熱気が同じ雰囲気を持っている気がする。
多分、フランス革命の時もそうだったのだろうし、共産主義国から独立した革命の時もそうだったのだろう。
革命などのは映像や文献や想像でしか分からないので実際にはよく分からないが、なんとなくそんな風に感じた。
まだまだ人の騒ぎは収まる気配は全くなかったが、
もうそろそろ家に戻ろうかと思って時計を見ると、
実は家を出てからまだ1時間ちょっとしか経っていなかった。
へ?1時間??もっと長いこといたような気がしたのだが、実はあまり時間が経っていなかった。
楽しい時は時間があっという間に過ぎるというが今回は何故か逆。
あまりにも珍しい光景を目の当たりにして、実は知らない間に思った以上に緊張していたんだなっと気付く。
帰りの電車内は随分と静かになっていたし、
もちろんまだPlaza Catalunyaの人々は騒いでいると思うが、
家に着いた頃には、1時間半前の周囲の喧騒が嘘のように静まり返っていた。
そして、今朝起きると昨日の騒ぎがまるで夢のようだったかのようにそこに現実が動いていた。
何故、CLリーグ決勝戦を週の真ん中水曜日で行われたのかっという事は、
この文章から想像していただけると思う。
それにしても、日本でもFC Barcelonaのファンの方は多いと聞くので、
ファンの皆さん、おめでとうございます!!!
そして、こういう経験ができたこの幸運にもう一度感謝します。
普段のブログとは違う文体や随分長くなってしまいましたが、写真なしにあの様子を伝えるのに苦労しました。
少しでもあの様子が読んでらっしゃる皆さんに伝われば嬉しく思います。
それでは、また。