イタリアに戻って1週間が経ち、ようやく落ち着いてきました。

 日本にせよイタリアにせよ滞在がそれぞれ短いものですからつい「今しかない」と思い色んな事を詰め込んでしまいがちです。これからのイタリア生活は少しゆったりしたスケジュールの中で声楽の道と人生とをよく噛んで(?)よく味わって過ごすようにしたいと思っています。

 今朝はアルトゥール・ルービンシュタインの弾くショパンを聴きながら、彼の演奏歴だけで80年にも及ぶピアニスト人生について書いてあるウェブサイトを見ながら朝食をとっていました。彼は見たもの聴いたものをそのまま記憶できる力の持ち主だったそうです。その天才も、己を省みて数年間人前で演奏をせずに技術の向上に努めたり、差別を受けたり、自殺未遂をして人生が変わったりと人生の色々な局面を体験したことが書いてありました。

 自分の人生の伝記を後から見返したと想像してみると、その一行一行の瞬間には相応の重さがあったこと、またその一行一行の段階では伝記は終わっていないことがわかります。今日も、自分の物語のほんの1ページ。されど大切な1ページ。善く生きたいものです。