専有部分とは <原状回復バスターズ> | 原状回復バスターズ活動日記 03(5962)7660 

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管理規約で専有部分は住居として使用とあるのに、事務所や塾に使うことは許されるのでしょうか

 

【質問】 私のマンションの管理規約では専有部分の用途について

“住居”として使用すると決められています。

 ところが最近“事務所”として使用する人や“英語塾”を開く人が出て来ました。

このようなことは許されるのでしょうか。

【答え】 管理規約には明確に用途制限を決めているものもあれば、

用途があいまいになっている管理規約もあり、用途が“店舗”、“事務所”、“住居”が

複合的に決まっている規約もあって紛争が絶えません。


 そのため、用途違反と判定する裁判例も多種多様で、

そのマンションの状況や規約の用途についての定め方、管理組合と違反者の交渉の方法など、

いろいろな要素から裁判の認定が異なっているようです。


 まず、あなたのマンションのように管理規約で用途が“住居”と定まっているようなケースでは、

“事務所”や“塾”に使用すれば用途違反に当たるといえるでしょう。


【質問】 そうすると違反者に対してどのような方法で、どのような措置が取れるのでしょうか。

その措置は理事会の決議で行えるのでしょうか。


【答え】 まず、管理を行う義務を負う管理者(ほとんどのマンションでは管理組合の理事長)

は理事会において、管理規約の用途制限義務違反者に対して、

違反となる“事務所”や“塾”に専有部分を使用してはならないとの決議を得て、

違反者と交渉を行います。

しかし違反者が使用禁止の管理組合の申し入れを拒否した場合は、

●●年●●月●●日までに使用を中止しなければ「使用差し止め」の法的措置をとるとの

内容証明郵便を理事長名で送付すべきです。

【質問】 私のマンションではそこまではしたのですが、義務違反者は一向に聴こうとせず、

内容証明郵便も受領拒否をして返送されてくる有り様です。


 次に法的措置とはどのようにすべきなのでしょうか。殊にAさんはB社に“事務所”として貸していて、

A・Bさんとも強硬姿勢なのです。


【答え】 まず区分所有者の集会(総会)を開催して、『使用差止めの仮処分の申し立て』を裁判所に行うこと、

その申立者に管理者がなってよい旨の決議を普通決議で可決して仮処分の申し立てを行うことが出来ます。

裁判所の仮処分の審尋で裁判官を中心として話し合いによる和解が成立することもよくあります。


【質問】 しかしA・Bさんともに事務所といっても事務員が2~3人で、人の出入りは少ないし、

机といす、パソコンにコピー機、その他の事務機器があるくらいで住居と変わらないほど静かな状態であり、

絶対に事務所の使用はやめないと強硬な態度で、話し合いによる和解などに従うような状態ではないので、

一方的に管理組合側が譲歩することになりそうなのです。もっと強硬な方法はないのでしょうか。


【答え】 東京地方裁判所八王子支部判決(平成5年7月9日)によると、

そのマンションは区分所有者集会(総会)において、

区分所有法第60条に基づき区分所有者の特別決議によって、

A(区分所有者)とB(賃借人)との間の賃貸借契約の解除と、Bに対し、

賃借部分からの退去、つまり明け渡しの請求を行う裁判を提起したのです。


【質問】 しかし区分所有法第60条は暴力団の事務所に使用されているような場合で、

区分所有者の共同の利益に反し、共同生活上の障害が著しく、

他の方法ではそれを阻止できない場合のみであると聞いていますが、差し止め請求以上にそのような請求まで出来るのでしょうか。


【答え】 この裁判の判決は原告、つまり管理組合側の主張を認め、管理組合が勝訴しました。

 裁判所が認めた理由は、

(1)管理規約の定めるとおり専有部分を利用することは、居住者の良好な環境を維持する上で、

基本的で重要な事柄であり、区分所有者の居住者の共同生活上の利益を維持・管理するために不可欠である。

(2)違反者を認めると、規約の通用性、実効性、管理規約に対する信頼を失い、

他の違反行為を誘発する可能性がある。

(3)Bの強硬姿勢は共同の利益に反する行為であって、共同生活上の障害が著しく、

他の方法によってはその障害を除去できない場合に当たる。

と認定したのです。


 この判決は管理規約を守るよう強く求めたもので、

居住者の平穏な生活を害されてはならないという管理組合の用途制限の規約順守を支持したものでした。