山本直史です。

「一般社団法人グラミン日本」設立というニュースについて。

貧困に苦しむ人に少額で無担保融資し、自立を促すバングラディシュのグラミン銀行が一般社団法人「グラミン日本」を設立し、日本国内で事業を開始し、菅理事長は記者会見で「貧困のない、誰もが生き生きと暮らせる社会をつくりたい」との抱負を述べたとのことだ。

働く意欲と能力があるにもかかわらず、生活が苦しいシングルマザーや失業者などが貸し出しの対象となり、5人一組の互助グループを作り、そのうちの2人にまず最高20万円ずつ貸し出し、2人の返済状況を見ながら、残り3人の融資を判断する仕組みとなっている。

僕はかつてノーベル平和賞を受賞された経済学者のムハマドユヌス博士の著書を読んで、とても感銘を受けた。
 

確か「貧困のない世界を創る」と「ソーシャルビジネス革命」という著書だったと記憶している。


このムハマドユヌス氏こそバングラディシュのグラミン銀行の創設者だ。

僕はユヌス氏の著書を読んでから社会課題をビジネスで解決する「ソーシャルビジネス」こそ、これからの社会に必要不可欠な考え方であるとの大きな影響を受けたのは間違いない。

 

単なる「利益」を追求するビジネスよりも、いかにビジネス手法で「社会課題解決」を実現するかという考え方は非常に共感するところだ。

 

特に、ユヌス氏が地球上から「貧困を無くす」ための取り組みは本当に意義のあることだと考えている。


しかし、詳細な内容はわからないものの本日のニュースで報道された「一般社団法人グラミン日本」が今後どの程度、この分野の実績を上げて行くのかについては少々気になる。

 

少なくとも「グラミン日本」が目指しているビジョンや、互助の仕組みによる少額無担保融資は、これまでの日本には無かったサービスなので大いに期待したところではある。

 

僕が気になっているのは、バングラディシュと日本とでは、社会環境や経済状況が大きく異なっていることだ。

 

ちなみに「2018年一人当たりの購買力平価GDP(USドル換算)で日本とバングラディシュを比較するとバングラディシュが4,560ドルに対し、日本は44,426ドルであるため10倍近い差がある。

 

また日本は異次元の金融緩和により極めて低金利の状況であるが、バングラディシュの銀行貸し出し金利は9.96%(2018年5月)となっている。

また、物価の違いもあるなかで、無担保融資額が一人あたり20万円という融資金額の金利設定がどの程度なのかや、その20万円で、実際にどれだけ自立促進につながるのかが気になる。

 

個人的には応援しつつも、この先の取り組みについて注目して行きたい。