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山本直史です。

 

太宰府市での視察テーマは「特別史跡の保存・活用の取り組みについて」。

このブログを通じて昨日行った視察についての報告を行いたい。

 

太宰府市の人口は約72,000人。
平成17年に「九州国立博物館」が東京・奈良・京都に次ぐ4番目の「国立博物館」として誕生し、年間約900万人の観光客が来るまちだ。

 

太宰府市には8つの史跡があり、そのうち国指定特別史跡3つある。

(大宰府跡、水城跡、大野城跡)


日本国内の特別史跡は62件あるが、そのうちの三つの特別史跡が太宰府市にある。

 

「大宰府跡」は大正10年3月3日に「史跡」に指定され、昭和28年3月31日「特別史跡指定」され、指定面積320,235.91㎡/公有化率80.5%となっている。

 

【大宰府とは】

7世紀、今から約1300年前に、九州全体を治める「大宰府」という役所が置かれ、500年もの長い期間その役目を果たしていた。
今もその歴史をしのばせる大宰府政庁跡・水城跡・大野城跡・観世音寺・筑前国分寺跡・太宰府天満宮などの市内に数多くの名所旧跡が存在する。

 

この「大宰府政庁跡」については昭和45年「大宰府地区史跡の保存・管理計画」に基づいて進められており、大宰府市としては史跡を保存しながら市民や観光客にとっても身近に感じてもらえる公園を目指している。

 

ポイント①

~史跡の保存・管理・公開(活用)はセットで行う~

 

特別史跡は「保存」するだけでは不十分であり、保存・公開を通じて「活用」していくことを目標としている。そのために、史跡の保存・管理・公開(活用)はワンパッケージと捉え、「保存する」だけでなく、適切に維持管理しつつ、まちづくりにも活用することを目指している。

 

時代の流れに伴い史跡を取り巻く社会環境はどんどん変わり、少子高齢化や人口減少、市町村合併などの外部環境が変わる中においては、「文化財だけでなく町をどうするか」という視点を持つ必要がある。


そのためには「文化財とまちづくりとの連携」こそが地域活性化や地域再生につながるという考え。

 

【歴史まちづくり法(大宰府市は平成22年11月22日に認定)】
地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)」
・「文化財」と「まちづくり」を結び付けて、町の景観を守り、地域の活性化に役立てようとする狙い
・文化財保護の文化庁とまちづくりに積極的な国土交通省が手を結んで地域の再生に取り組む

【太宰府市の取り組み】

国土交通省・農林水産省・文部科学省(文化庁)の3省共管の社会資本整備
総合交付金(歴まち事業)を活用し、史跡地の内外で園路整備、修景、サイン整備を主体とした整備事業を進めている。



かつて「史跡貧乏」と呼ばれた太宰府市

その意味は太宰府市には史跡が数多くあるものの、その保存管理費は太宰府市の予算から出されているため、草刈費用などが毎年支出される割には、史跡自体から財政的には寄与してくれていないという意味。

 

担当者曰く「太宰府市から史跡がなくなったら大宰府では無くなる!」と言って説得して来たとのこと。

太宰府市が目指している方向は史跡を大宰府に観光の一つにしたいが、現時点ではまだそこまでは至っていないようだ。

 

ポイント②

~史跡などの文化財は何のためにあるのか~

 

決して金儲けのためでなく、「史跡」は市民のものであり、国のものであり、それがあることで太宰府市のアイデンティティとなっている。

 

「観光」はその一部であるため→「史跡」の価値を維持し、さらに向上させることにより住民満足を高めることが大切。

 

【千葉市の加曽利貝塚】

平成29年10月13日(金曜日)の官報にて、文化財保護法の規定により「加曽利貝塚」は平成12年以来17年ぶりに国の特別史跡に指定された。

 

国の特別史跡としては62件目、縄文時代の特別史跡としては4例目、貝塚では日本初となり、千葉県内では加曽利貝塚が初の特別史跡。

 

【視察を終えて】

「史跡」については、後世に残すためにも適切に保存と管理を行いつつも、保存するだけでなく、その歴史的な価値を幅広く発信するなどして、「活用」していくという視点が大切だと感じた。

 

その一方で維持管理の予算は自治体が負担するのが現状なので、「史跡をそうするか」といった、史跡だけのことを考えるよりも、史跡をどのように街づくりに位置付けるか、歴史的史跡のある街としての魅力を高めて行くかという視点から考えて行く必要があるとも感じた。

 

そのためにも、加曽利貝塚を所管している「教育委員会」がハブ役となり、千葉市の都市計画を所管する都市局や、観光を所管する経済農政局との一層の連携が必要になると考えられる。

 

具体的には公共交通の利便性を高めたり、加曽利貝塚で市民や観光客が楽しめる魅力的なコンテンツを開発するなどして、より多くの方々に加曽利貝塚を知っていただき、気軽に足を運んでいただける環境を整えることが大切だと感じた。

 

特別史跡「大宰府政庁跡」