千葉市議会議員+千葉から日本を元気にする
山本直史です。

【里親制度の推進について】~第4回定例会代表質問~

保護者のいない子どもや虐待を受けた子どもなど、公的責任で
社会的に養育していかなければならない子どもたち、いわゆる
社会的養護が必要な子どもたちは、平成26年3月末時点で、
全国で約4万6千人いると言われています。

本年10月に国が発表した、平成26年度の児童虐待対応件数は
全国で8万8,931件と、昨年度に引き続き過去最高を更新しています。

本市においても、ここ数年は年間800件前後と高い件数で推移
しています。

すべての子どもにとって、実の親の愛情のもと、生まれた家庭で育つ
ことが望ましいのはもちろんですが、児童虐待やその他の
事情等により、
実親家庭での養育が困難な児童がいることも、
また事実です。

こうした社会的養護を必要とする児童については、可能な限り
家庭的な環境において、安定した人間関係の下、特定の大人との
愛着関係を築きながら育つことが、その後の児童の健全な育成に
とって、
とても重要であると言われています。

国においても、平成23年度に示された「里親委託ガイドライン」
中では、このような理由から、社会的養護を必要とする子どもたち
には、
児童養護施設等の施設養護よりも、里親委託を優先して
検討するよう、
「里親委託優先の原則」をうたっており、平成41年度
までに、
里親やファミリーホームなどへの委託率を3分の1まで
引き上げることを
目標に掲げています。

社会的養護を必要とする児童を自らの家庭に家族として迎え入れる
里親制度は、未だ認知度が高いとは言えず、里親の担い手や
里親家庭を地域で支える理解者が少ないことや、里子の自立支援を
はじめ里親家庭が求める様々なニーズに対応する十分な支援体制が
構築されていないなどの課題があります。

本市では、第2次実施計画において家庭的養護の推進を掲げており、
これらの課題に対応するため、NPO等との協働事業の実施による
里親委託の推進を位置づけています。

そこで、家庭で暮らすことができない子どもたちのため、子どもの健全な
育成を図る有意義な制度である里親制度の
推進について、2点伺います。

【里親制度の推進について①】
里親制度の推進について、今年度は具体的にどのように取り組むのか?

【答弁:熊谷市長】
現在、NPO法人「ちばこどもおうえんだん」と協働し、里親制度の
普及啓発に取り組んでおり、10月には広報活動の一環として
「千葉市里親制度推進シンポジウム」を開催しました。

今後、シンポジウム参加者の中から、より深く里親制度について
知りたいとの御意見をいただいた方などを 対象に、小規模な
説明会を実施して、里親登録につなげる 取り組みを行います。

あわせて、先進市の事例研究等をもとに、次年度以降の里親
支援体制について、事業案を作成いたします。

また、病院から直接里親家庭に引き取られる新生児委託は、
養育環境が変わらず負担が少ないことや、親子としての愛着関係が
築きやすいことを踏まえ、その取り組みに向けて、必要な連携・協力
体制について、
関係機関等と協議を進めています。

その他、今年度から市職員に対しては、特別養子縁組を前提とした
監護期間における育児休業制度を導入するとともに、職員の里親
制度に対する理解を深めるためのナイトセミナーを実施しています。


【里親制度の推進について②】
NPO法人との協働による取り組みについて、今後どのように
進めていこうと考えているか?

【答弁:熊谷市長】
里親制度を推進するためには、制度周知に向けた積極的な
普及啓発と里親家庭が求める里親への支援が、必要不可欠な
取り組みであると認識しています。

具体的には、今後も継続してシンポジウムを開催するとともに、

関心をもっていただけた方々への説明会等を通じて、新たな
里親の担い手や地域における里親の支援者を増やしていくための
普及啓発を、NPO法人と協力・連携して進めます。

また、里親支援については、里子の年齢や状態により、その内容が
多岐にわたることから、ニーズを的確に捉え、
必要な支援に適切に
つなげていくことが出来るよう、今後、
NPO法人と様々な団体との
ネットワークの構築に取り組みます。


【山本直史の視点】

子どもにとってみれば両親の愛情を受けながらスクスクと成長する
環境はとても大切だが、いろいろな事情でそんな理想通りにはならない
ケースは少なくありません。

そして日本の現状は実際に1年間で児童虐待に対応したケースだけで
8万件を超えています。

つまり、児童虐待として顕在化していない更にケースは多くあると考えると、
大切なのはまず何よりも子どもの人権を守らなければならないことです。

国の方向性として児童養護施設への入所だけでなく、里親制度の推進を
目指しているのは間違ってはいないが、何よりも大切なのは社会全体が
まずは「里親制度」へ正しい理解をすることなのだと考えています。

そして「正しい理解」を進めるには、国だけでも、地方自治体だけでも
難しいので、国と地方自治体が連携して進めることが大切です。