千葉市議会議員+千葉から日本を元気にする
山本直史です。

7月17日(木)に新潟県長岡市へ視察へ行きました。
視察の目的は「市庁舎整備」についてです。

今日は新潟県長岡市役所の視察報告をブログに
書きます。

今回の視察でご対応いただいたのは
長岡市市民協同推進室課長です。

長岡市役所の第一印象は「えっ、これが市役所なの・・・?」と
思わず声が出てしまうほど開放的でオープンな雰囲気のする
素晴らしい市役所でした。(2012年オープン)

ここ数年は長岡市だけでなくどこの自治体も財政的に
潤沢ではないため新しい公共施設の整備は市庁舎も
含めて可能な限り建設コストを縮減して進めるのが流れだ。

それだけに完成した庁舎の雰囲気はどこか殺風景で、
いわゆるお役所っぽい建物であるケースが多いが
この長岡市役所はとにかく魅力に満ち溢れている。

なぜ、長岡駅から直結した一等地にこんな素晴らしい
市役所が建てられたのか・・・その理由を知りたい。

【市役所市庁舎整備の概要】
旧市庁舎は平成16年に発生した新潟中越地震で被災し、
耐震性がなかったことがキッカケとなり新庁舎整備への
流れができた。

またクルマ社会の到来で商業の核は徐々に郊外へ
移ってしまったため、デパートなどの撤退もあり
中心市街地は衰退傾向にあった。

たまたま長岡駅前に長岡市厚生会館の跡地である
1.5ヘクタールの土地がありそこを活用した。

この長岡市役所の入っている「アオーレ長岡」は
長岡駅前の好立地にあり、真ん中に屋根付き広場
「ナカドマ」がありその周りに市民サービスを行う
行政機能の入った「東棟」、議会と市民活動の拠点である
「西棟」そして「アリーナ」が配置されて、全てが回遊テラスで
つながっている。

実に35,000㎡の延床面積の半分以上が
市民交流スペースになっている。

【コンセプト】
なぜこのような市役所が誕生したのか?
それは「市民協同による中心市街地の再生」を
長岡モデルにするという市長の強いイニシアチブがあった。

この地区の容積率は600%なので高層ビルにすれば
全ての機能を一箇所に集約できたが、市長自身が
「市役所は街に溶け込んだものしたい」という強い想いがあり
市役所機能を3つの建物に「集約配置」して中心市街地に
人と集い集まるように回遊性を持たせた。

この発想に驚いた。

通常の場合、高層ビルが建つとそのビルの周りに
大きな空地を設けるが、長岡市の場合には
真ん中に「なかどま」という大きな空間を作りこの
空間の周りに東棟・西棟・アリーナの3つの建物を
配置した作りになている。

また、この「アオーレ長岡」の"アオーレ”は長岡地域で
「会おうよ」の意味で応募5,552件の中から小学5年生の
女の子の案が採用された。

ちなみにこの真ん中の空間「なかどま」は24時間
365日開放されている。

長岡市の森民夫市長は「市役所を単なる役場に
するのではなく、"市民と行政”をつなぐ場、
”市民と市民”や”行政と経済界”をつなぐ場にする」という
強い想いを持っていた。

市役所を市民の劇場空間と捉え自由な発想で
活用してもらうことで市民協同の拠点、市民交流の拠点、
文化の発信拠点にしようと考えた。

この発想は「市役所は市民のもの」であり、
むしろ役所側が市民から「借りている」という発想で進められ、
"屋根付き広場”を条件に「プロポーザル方式」で67社の
中から日本を代表する著名な建築家隈研吾氏が選ばれ、
彼の斬新なデザインによって具現化された。

一般的に市庁舎建て替え構想が生まれてから、
実際に建て替えられるまでは10年程度かかるが、
長岡市の場合は構想からオープンまでが6年だった。

【整備費用及び財源】
総事業費は当初予定は105億円であったが
最終的には131億円であった。

一般財源 約3億円
積立基金 約45億円
国補助金 約29億円
県負担金 約2億円
市債発行 約52億円

管理運営費
約2億7000万円(管理費・委託費)
光熱水費 約5000万円

【利用する市民が運営し行政が下支えするモデル】

特筆すべきは運営スタイルだ。
このアオーレを運営するモデルは前例のとらわれない
「できるだけ制約を設けない」支援制度になっている。

長岡市の直営でなく、指定管理者制度でもない、
まさに「アオーレモデル」がここにある。

それはアオーレを利用する市民団体ネットワークが
市民組織を立ち上げ、そこが運営管理している。

アオーレをどう活用することが良いのかを一番
知っているのは利用者側の団体であるとの発想だ。

利用者側で「アオーレ運用懇談会」を作り、
その団体の代表者たちが理事になって
「市民交流ネットワーク」を作りそこに長岡市が
財政面で支援するスタイルなのだ。

契約的には「随意契約による業務委託」となる。
そして、年間委託料は約9000万円となっており
その6割強が人件費だ。

【文化発信の拠点】
今でに各種イベント、コンサート、スポーツ大会
公開生放送、結婚式など、あらゆるイベントが多数
開催され長岡市の文化発信の拠点になっている。

【山本の視点】
百聞は一見にしかずとはこのことだ。
今回の視察で大変な学びを得た。
市庁舎整備には明確な「コンセプト」が必要だということだ。

市庁舎整備にはもちろんいろいろな目的があるが、
この市庁舎によって、「何を実現するのか」
という強い想いがあり、そこに共感が生まれ、
市民と行政が共通ビジョンの実現に向けて一緒に
動くと、こんなに素晴らしい市役所が実現する。

今回の視察の学びを千葉市に反映させて行きたい。


とにかくすごい解放感。


上から下を眺めると…


5000人収容出来るアリーナ


市役所の1階受付


長岡市議会もモダンで解放的