千葉市議会議員+千葉から日本を元気にする
山本直史です。

昨日は千葉市議会議員の議員団研修会だった。

「人口減少社会における自治体の役割」というテーマで
東京大学法学部の金井利之教授の話を聞いた。

金井氏は40代半ばで東京大学法学部の教授を務めている
だけあって話は非常にわかりやすく、切れ味が鋭い。

今の社会は「子どもを持つと損をする社会」であると
定義している。

経済合理性だけで考えればDINKSが一番合理的な
世帯形態である。

2009年民主党マニフェストで掲げた「子ども手当」は
結局財源が無く頓挫した形となっているが、
「社会全体で子育て負担を分かち合う」という
崇高の理念を実現させ、本気で少子化対策を
考えるのであれば、子どもを持つ世帯と、
そうでない世帯の公平を図るために「子ども手当」と
平行して「子なし世帯課税」で財源確保をすべきだったと。

しかしそうであっても、本当に「子育て」に必要な
経費を考えれば月額26,000円の子ども手当では全く足りず、
年額100万円の税額控除くらいのことを考えるべきだと。

そもそも、子どもを持つことが「損」か「得」か
という話は「損得」という観点で考えたことはなかったが、
金井氏は「これまでに政府が取ってきた政策は
結果的に少子高齢化を助長させており、
その事に気づくべきだったのは1980年代だったのだ。

金井氏は「時は既に遅し」というのが結論だが、
いわゆるバブル景気に浮かれている時こそ
少子高齢社会への対策を取るべきだったのだと。

というのも、今から直ちに少子化対策に成功しても
その成果が出るのは20年先になることは確定している。

当然その間の20年間は人口減少、高齢社会の重荷に
苦しむ事になり、政策決定から実行までの時間が
かかればかかるほど、人口構造における
「高齢有権者」の比重がさらに高まることから
高齢者施策へシフトすることになると。

そして根拠として持ち出されるのは
「現役世代〇〇人で1人の高齢者を支える」という
現役世代と高齢世代の対比のみのため出生に関心が低い。

年金問題に関しても、結局のところは
保険料の引き上げ・給付金額の引き下げ・税金投入という
財政収支問題に矮小化されてしまい、少子高齢化が
進む限りはいつまでたっても解決しないのだと。

なるほど。

また、仮説として「公害」対策など、解決するべきものが
目に見える場合の対策は取りやすいが、
「将来の少子化」という、目の前に見えないことへの対策は
優先度が低くなる傾向にあると。

なるほど・・・。
確かにそうかも知れない。

講演は、「少子化対策」はやらないよりは、
当然やった方が良いが、「既に手遅れだ」との
厳しい言葉で終わったが、何だかとても悔しさが残る
講演でもあった。

実際は厳しい現実であっても、
迫り来る少子高齢社会を正面から捉えて、
子供たちが夢と希望を持てる「持続可能な社会」を
実現するために出来るところから頑張りたい。