千葉市議会議員+千葉から日本を元気にする
山本直史です。

政府が10年間で観光客を2倍、観光収入を3倍に増やすという
目標を立て、その目標達成のための2つのプロジェクトを
入札によって権利を取得した企業が民間投資を活用して
プロジェクトを進め、民間企業は投資した金額をわずか5年で
回収するビジネスモデルで、政府には税収が上がり、
地域にか雇用が創出されるという流れを作っている・・・。

なるほど・・・
これが「統合型リゾート(IR)というものなのか。


昨日で千葉市議会IR議員連盟としてシンガポールにおける
IR事情に関する視察日程を終え、現在このブログを
シンガポール発→成田行きの機中で書いている。

「マリーナベイサンズ」との意見交換については
既にブログに書いたが、その次に向かったのは
日本の国土交通省の出先機関、日本政府観光局
シンガポール事務所だ。

この日本政府観光局シンガポール事務所は
シンガポール・マレーシア・インドネシア・インド
から、日本へ観光客を増やすため活動をしている。

そこでは、統計に基づく「日本への観光客」の
概要の数字を聞いた。

2012年年9月に取った統計で、対2010年の同月比で
シンガポールから日本への観光客の総数は16.1%
下落している。

シンガポール事務所ではこの観光客数下落の要因を
東日本大震災に関連する放射能に対する懸念だと
分析している。

というのも震災が起きる前の2010年に比べ
2012年は千葉県はほぼ半減(△53.1%)している
ものの京都(+32.1%)や沖縄(+228.9%)への
観光客は増えてからだ。

また、他国には「観光」を戦略的に位置づけ、
海外から自国に観光客を招くための制度的な
仕組みを作っている国もあるが日本では
そのような制度は無い。

例えば、観光客を招くために、国の一般会計予算から
一人あたり5000円をインセンティブとして支出するような
政策はなかなか国民には理解されない施策だが、
このインセンティブをキッカケに来日を促すことで、
そのインセンティブ費用以上の経済的効果があることは
間違い無いという意見もあった。

なるほど。

シンガポールでは「観光」をシンガポール経済振興の
基幹の1つに育てるために「シンガポール観光庁」を
設立し、今回視察した「マリーナベイサンズ」と
リゾートワールドセントーサ」の2つのプロジェクトを軸に
観光産業の基幹戦略を作っている。

国のビジョンも明確だ。
2004年当時の観光客は800万人(100億シンガポール$)を
2015年には1700万人(300億シンガポール$)にするという
目標、つまり約10年間で観光客を2倍に増やし、
観光収入を3倍に増やすという戦略を立て、
そのため施策を打ち、実際にその目標を上回る結果を残している。

「マリーナベイサンズ」は
ターゲット来訪者はビジネス層
投資額は57億US$
年間来場者1960万人
直接雇用者10000人
税引き前利益19.3億シンガポール$


「リゾートワールドセントーサ」は
ターゲット来訪者はファミリー層
投資額h66億US$
年間来場者1500万人
直接雇用者14000人
税引き前利益16.7億シンガポール$

このように、シンガポールは
東京23区と同じくらいの大きさで
人口は約500万人規模なのに対して、
年間1700万人の観光客を招くという明確なビジョンと
戦略を作り実際に実現させている。

日本との違いな何なのか??
いわゆる「成功の秘訣」とも言える
キーワードが出された。

①構想力(全ては構想から始まる)
②全体デザイン力(構想を実現出来るように見える化する力)
③実行力(その構想を実現させる力)

当たり前のことではあるが、
その当たり前のことが出来るか否かの違いなのか・・・。

政府は戦略を立て、デザイン力溢れる「仕様書」を作り
法律整備を行いインフラ投資も行う。

民間企業は仕様書に合わせて入札を行い、
落札した企業が巨額の投資をして施設を完成させるのだが
その投資金額はわずか5年で回収する。

マリーナベイサンズの税引き前利益は
19.3億シンガポール$(約1,350億円)で、
この8割をカジノ収入から上げている。

つまり、施設全体の5%しかない面積から
約8割の収益を生み出すビジネス構造が
IR(統合型リゾート)なのだ。

繰り返しになるが、シンガポールでは
政府が10年間で観光客を2倍、観光収入を3倍に
増やすという目標を立て、その目標達成のために
2つのプロジェクトを入札によって権利を取得した
企業が民間投資を活用してプロジェクトを進めている。

民間企業は投資した金額をわずか5年で
回収するビジネスモデルで政府には税収が上がり、
地域にか雇用が創出されるという流れを作っている。


奇しくも、IR視察を終えて帰国する本日が
「衆議院解散の日」となった。

日本が持つ潜在的な魅力を引き出し、高い構想力で
国内外民間からの投資を呼び込みながら新しい産業を作る・・・
そんな「明確な成長戦略ビジョン」を掲げる政党に
新しい政治を担ってもらいたい。




マリーナベイサンズで打ち合わせをした部屋から
下を見下ろすとカフェが




併設されているコンベンションホールの通路。とにかく巨大。




シンガポールの銀行が行うパーティ会場の準備中の風景
5000人の着席によるパーティーが行われるとのこと




セントーサ島のコンベンション施設のボールルーム




現在プレオープン中のコンベンションホールはとても綺麗