君がいないと小説は書けない | 誰にでも一つくらい・・・

誰にでも一つくらい・・・

誰にでも、一つくらい他の人より秀でたことがあるってよく聞くけど、本当に?私の中の『誰にでも一つくらい・・』を探します。

小説は好きだが、自伝的小説には特に興味がある。
どこからどこまでが自伝なのだろう?と思いながらいつも読むのだけど、自伝的小説には、身近な生活を感じられるし、著者が経験した出来事が、ワイドショーを見ているようでもあり、時にいたく共感する。

私は子どもの頃、いろんなものを、いろんなことを「人」が行っているということを分かっていなかった。
私の実家は貧しかったから、両親は子どもが学校以外の活動をすることを好まなかった。
習い事はもちろん、塾にも行ったことがない。
昼間は学校へ行って、休日には自宅近くで鬼ごっこをして遊ぶ、それで十分だった。

やりたいことがあっても、お金もないのに、そんなことは出来ない、と言われて終わり。

もしかしたらそんな子ども時代が影響したのかもしれないと最近思ってみたりするのだが、私は大人になってつくづく思うのが、世の中の職業を知らずにここまできた。

大学に進学したものの、やはり大学の授業以外のことをしようとするとお金がかかるので、自発的に何かをするということがなかったし、そんなことではダメだという認識もなく、言われたことをつつがなく行う、これこそが最良の生き方なのだと思っていたから、誰も何も言ってくれないままに就職も叶わず、そのまま結婚した。

30歳を過ぎてから、世の中にはいろんな職業があることを今更ながらに知った。というか、実感した。

そうしてやっと学芸員や編集者という興味のある職業を見つけた。

今から思うとバカバカしいが、長い間、有名な仕事は選ばれた人がするものだと思っていた。
博物館にいる人は博物館で働くべく生きてきた人で、本屋に売っている本を作っているのも、本を作るべく選ばれた人。

なぜもっと世の中を知ろうとしなかったのか、今となっては悔やんでも仕方がないことだけど。

とにかく、そんな職業があったんだ!
挑戦してみたかったな。
と今さらながらに思う職業の一つが編集者だ。

その編集者の生活と憧れの作家の生活が垣間見ることが出来て嬉しい一冊だった。

小説は読んだら自分でも書きたくなるのだけど、一度も書いたことはない。
だけどやっぱり一度くらい、小説を書いてみたいものです。