マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発-

The Martha Mitchell Effect  2022年 ドキュメンタリ短編映画 米国 NETFLIX 
 

 

  ウォーターゲート事件の闇におちたミッチェッル夫人

衝撃的なお話でした。

 

ニクソン大統領が退陣した「ウォーターゲート事件」の隠蔽でえらい目にあって、

ミッチェル司法長官と離婚したミッチェル夫人のドキュメンタリです。

 

このドキュメンタリ、40分と短くて、

世界史(戦後)とアメリカの政治史の勉強になるから、

お時間があいた時に、ちゃっちゃと見ておいた方がいいです~!

 

 

 

 

綺麗な女性です。

ウォーターゲート事件で逮捕されたミッチェル司法長官の妻・マーサ夫人。

 

 

  ウォーターゲート事件とは

 

米国の大統領選挙を前に、民主党本部があるビル「ウォーターゲートビル」への不法侵入者が逮捕され、
それが共和党関係者(ニクソン大統領の関係者)だったことが発覚。
 
以降、全貌があばかれ、1974年にニクソン大統領(すぐに恩赦)をはじめ
ミッチェル司法長官らも逮捕(1979年に仮釈放)され、ニクソン政権退陣に追い込まれた「ウォーターゲート事件」。
 
ベトナム戦争に対する批判が世界で高まっているなか、
戦争を継続させている米国大統領が大統領選挙のために民主党本部に不法な侵入を命じて、
スパイ活動をさせていたということが発覚して、世界に衝撃を与えた大事件でした。

 

ディープ・スロート 大統領を葬った男

 

 
ウォーターゲート―スパイと大統領の物語 (1973年)

 

 

最後まで、夫の無罪を信じた、ニクソン大統領の片腕「ミッチェル司法長官」の妻マーサ・ミッチェルさん。
だけど、事件を隠すため夫たちの企みで、とんでもない目に遇ってしまったマーサミッチェルさん。
 
これは、ヒドイ!
女をなんだと思ってるの?(怒)
 
頑張れマーサ!
 

 

  「モノ言う女性」としてスター状態だった司法長官夫人
 

 

ドキュメンタリを見ると分かるんですけど、マーサ―夫人って、とっても可愛い人なんです。

 

知的マダム系、セレブ・アイドルといった感じの女性です。
 
明るくて知的で、笑顔が可愛くて、
「ガーリーなファッションで有名な…」女性だったそうで、ほんとお洒落で可愛い。
まるでBarbieの世界から出てきた人みたい。
 
ファッションリーダーで、イケてるセレブ女性だったようですよ。
チャーミングで、人気の女優さんかと思いました。
 
見てください!こんなに可愛い女性なんです。

 
テレビや雑誌にひっぱりだこで、お茶の間の人気者だったんだそうです。
なんと、彼女になれる仮装用のカツラが販売されてるくらいです。
本当に人気があったんですね。
 
 

 
政治や社会のことに関心が高く、福祉や経済や戦争について、積極的に意見を言って、
ベトナム戦争を早く終わらせよう!ということもいうので、女性の支持も世間からの支持も高いという。
テレビや雑誌にひっぱりだこ。
 
ニクソンを献身的に応援して、ニクソン大統領の人気を上げた功労者だったようです。
 
ウォーターゲート事件が発覚する前の、テレビの人気者時代の映像が出てましたけれども、
笑顔が素敵で、明るくて、輝いていていらっしゃいました。
旦那さんに全幅の信頼を寄せて、幸せに暮らしてたんでしょうね。
 

 
彼女がお洒落なファッションでキメキメにして、自由に政治的発言してる彼女。
 
彼女に自由に行動させて、自由に発言をさせることで、
ニクソンさんたちって ポリティカルコレクトネス がある政治家としてまた「理解がある夫」を演じてたのかな…という感じもプンプンしました。
 

  チャーミングなセレブ・マーサ夫人

 

映像に出てきますが、ニクソンさんの時代って、まだ、大変な男尊女卑の時代だったんですね。
 
政治家のテーブルに女性がいない。
奥さんが同席できる場面では、マーサさんがガンガンに発言しいて、奥様の中でも浮いてたんだそうです。
 
他の政治家の奥さんは夫を立てるタイプの人ばかりで政治の話は一切しないとか、
マーサさんは「ものいう女性」の代表だったんだそうです。
「大統領や首脳陣にガンガン電話して意見する女性」ということで、「受話器を持つマーサ」が彼女のシンボルになってたようです。
 
育ちが良い、明るい女性で、空気も読めてるし、賢い。
旦那さんのミッチェル司法長官は、もともとはニクソンさんがニューヨーク州で弁護士をやってた時に共同で弁護士事務所をやっていた仲間で、弁護士の夫と幸せに暮らしてた女性だったんでしょうね。
 
なんだか、すごく輝いてます。
 
ザ・セレブ!という感じ。
天真爛漫に育って、華やかなマダム街道まっしぐらな方に見えました。

 

 

 

  政治のドロドロの世界を知らなかった奥様

 

だけど、弁護士事務所をたたんで、政治の世界に入った夫と夫の親友ニクソンが、

グレーなことにも手を染めていることには、まったく気が付いてなかったようです。

 

ウォーターゲート事件が発覚しても、彼女は夫を信じていた。

テレビに出てウォーターゲート事件に関しても聞かれるから、

天真爛漫に「夫は聡明で素晴らしい人だ。そんなことに関係してない」「夫は犯罪などおかさない!」
「ニクソン大統領はそんなことしません」と信じて、そう発言していた。
 
彼女、旦那さんのミッチェル長官が、ウォーターゲート事件の主犯だって知らなかったんですね。
 
メディアの人気者の彼女なので、メディアに出るたび、そういう発言をして、
これは、まあヤブヘビになっていくから、それで、邪魔になったみたいですよ。
 
ヤッカイな女性だと感じたでしょうね。
(盗聴テープが出てきて、「マーサがうるさい、黙らせろ」と密談してるのが公表されてました)
 
 
それで、事件が発生します。
彼女、ホテルに軟禁されたらしいんです。
彼女のお得意の「電話でご意見」をさせないように、ホテルの電話回線は引っこ抜かれて、
誰とも連絡が取れないようにされてしまった。
 
おかしいからホテルから逃げようとしたら、男の人達に捕まって、暴行を受けて、注射を打たれたらしいんです。
それで「マーサ夫人は精神を病んでいる」ってメディア発表されてしまってんだそうな。

 

 

 
反論するマーサ夫人。
「いや私は正常!」「監禁されて、注射された」と主張。
 
頑張っても頑張っても、「いや彼女は頭がおかしい」という噂がどこかの人達が流していて、
やがて「頭がおかしい人認定」されてしまい、引きこもり状態にされてしまったんだそうです。
 
ホテルに閉じ込められてベランダから逃げようとして、捕まったらしいです。
いや、私でも閉じ込められたら、ベランダから逃げようとすると思う。
私もどうにかして外に出ようとするタイプだから、想像してしまいました。
 
 
だけど、まもなく、ニクソン大統領も旦那さんのミッチェル司法長官も逮捕されてしまって、
軟禁してへんな注射をしたのが、夫たちの差し金だったと知った。
 
「私、口封じされてたわけね?!」と気が付いて、夫の闇を知った…というドキュメンタリでした。
 
 

  心理学用語の「ガスライティング」の代表的なエピソードとされてる

 

ニクソンさんたちの仲間が彼女を軟禁して(注射を打って)、精神を病んでしまったということにして、
「彼女はおかしなことを言ってる」と表舞台から消して、マスコミに登場させないようにしてたとか、
もう、ありえない!
 
ひどすぎる!
なんちゅうこと!
 
ダメでしょ、注射打っちゃ……。
 
やだー、マリリンモンローの謎死を思い出してしまう。
 

「ガスライト・ザ・ムービー」とよばれるようですよ。

 

 

  ガスライティングとは?

 

 

心理学用語で「ガスライト」「ガスライティング」という言葉があります。
 
私も心理学は勉強したので(ああ、これだ…)とうんざりした気分になりましたが、
 
「精神的ないじめ・いやがらせで、一人だけ情報を教えてもらえず、一人だけ浮いた状態にさせられて、ハブられたり、まるでその人が悪いかのように印象操作をされて、精神的に追い詰められていく」。彼女はまさに「ガスライティング」されていた人として、
心理学のテキストに具体例として記載される人になってしまった。
 
それだけ、ひどい目にあった。
 
特定の人をターゲットとして、集団で付け回したり、ターゲットが妄想癖や精神的な欠点を持っていると思い込ませる工作などで、特定の人物を精神的に追い詰めていく、ガスライティング。
 
古い映画の「ガス燈」という作品から来た言葉で、女性は精神が健全な女性なのに、頭がおかしいんじゃないかとまわりに言われて、精神的に弱体化させられていくという、怖い作品なんだそうです。
 
こちらが映画「ガス燈」の映像です。

女性の驚愕した顔

ガス燈(吹替版)

 

喪服のようなドレスでベットに倒れ込んで…。

ああこれ、この恋人みたいな人がガスライトしてるのか?

ガス燈(字幕版)

 
それで、マーサ・ミッチェルさんのお話はこのドキュメンタリ以外にも
「ガスリット」というタイトルでドラマ化されてるそうです。
 

連続ドラマ「ガスリット」。

ガスライティングされたことを、過去形にするとガスリット。

 


 

 

  心理学用語になった「マーサー・ミッチェル効果」

誤った情報を伝えたり、言いがかりをつけて、精神的に追い詰める虐待「ガスライティング」。

 

1988年には、「妄想とみなされた個人の主張が後に真実だと判明するプロセス」のことを「マーサー・ミッチェル 効果(マーサー・ミッチェル・エフェクト)」が心理学用語として定義付けられて、現在では心理学業界で使用されているそうです。
 
 
この作品はずばり、「マーサーミッチェル効果」の真相をあばくドキュメンタリでした。
 
 

  パワハラが深刻な職場に「あるある!」なガスライティング

 

このガスライト、今でもまだ、身近でやらかしてる人達がいます。
 
私も2年前に、とある社長さんからやられたので「パワハラじゃないですか?」と言い返しました。
 
これらの心理学用語が一般化していくと、
「ガスライティングをする人ってはずかしいよね」というのが常識になっていきます。
 
それは近い将来の話なので、
早目早目で、自分のやってることを客観視して、辞めた方がいいと思いますよ、
昭和のおじさんたち!!
 
「私はお局と呼ばれている。鬼といわれてもなんとも思わない。気に入らないやつはつぶす」と
公言してる女性がいる会社で働いたことありますが、あれもヤバかったな。
 
大手企業は毒人材を一層してカウンセリングを受けさせたり、コンプラ研修をうけさせて、
適正な処分をしています。
 
ちょっと前にすっかりホワイト起業化した大手出版社で仕事したら、本当に天国でした。
 
仕事の生産性が落ちてるわけじゃなくて、皆さん、気持ちよく仕事しているから
ホワイト企業って、実は生産性も高いですよ。
 
チームワークがいいと、最高のものが作れます。
おたがいをリスペクトしながら仕事ができるし、自己肯定感も高まるし、最高でした!
トラブルも隠蔽しないし、責任のなすりつけあいもない。
誰にでも得意分野と苦手分野があるから、苦手分野は相談すると、得意な人がサポートしてくれる。
「問題解決」にフォーカスして、チームで団結して進む。
 
だから、結果、最高のものが出来上がるんです。
チームワークで仕事すると、予想を上回る、すばらしいものができますよ。
 

  ウォーターゲート事件を知るなら、この映画!

 

ロバートレッドフォードとダスティンホフマンが

「ウォーターゲート事件」を暴いた

ワシントンポストの記者を演じます。

大統領の陰謀 (字幕版)

 

ワシントンポストの記者をトムハンクスと社長がメリルストリープが演じます。

見比べると面白いかも!!『ペンタゴン・ペーパーズ』

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 (字幕版)

 

ペンタゴン・ペーパーズ 「キャサリン・グラハム わが人生」より

 

 

 

  【オマケ・沖縄とニクソン】ニクソン大統領といえば沖縄密約

 

ニクソンさんって、沖縄本土復帰した時の大統領で、沖縄とはゆかりのある人なんですよね。

沖縄出身の若者の皆さん、ニクソン大統領については、機会があれば深堀りすることをお勧めします!

 

 

 

 

ニクソン大統領といえばベトナム戦争を思い出します。

ベトナム戦争に荒れる米兵の心を慰めた沖縄ロックと混血児シンガー喜屋武マリーさんの青春ストーリー(実話)

ニクソン大統領の時代の沖縄をかいま見ることが出来ます。

 

Aサインデイズ [DVD]