ニモーナ(2023年米国 NETFLIX アニメ)
米国アカデミー賞「長編アニメーション賞」ノミネート作品の一つである『ニモーナ』を観ました。
異質な人への差別で傷つく少女と孤児から騎士になった男の心の交流のお話。
鬼退治に命をかける『鬼滅の刃』の対極にあるようなお話で、
ネタバレなので、黒く塗りつぶしました!
化け物退治の騎士として選ばれたヒーローが
おもいがけず1000年もの間「化け物」とされていた少女と出会い心の交流を重ねていくうちに、
異質への差別が、差別を受けた人の心を傷つけいて、傷だらけになった少女を「化け物」と称していた事実にきがつくという、
つらいお話でした。
ニモーナが可愛い、ピュアな女の子だったから救われた感じがしました。
名もなき社会的弱者に寄り添う心の美しさ、庶民から初めて女王陛下から騎士に選ばれたバリスタの
深い愛のお話で、いい話でした。
長編アニメーション賞にノミネートされた作品だからと、ちら見する程度の軽い気持ちで観た作品でしたが、
排除されがちな避難民や移民、異民族との共生を考えたり、他人と異なる個性を持つ人達を差別して排除するために攻撃を行うことに対する強い警告がこの作品には盛り込まれています。
既得権益者が周りの人達に「汚い!」とか「卑しい」とか、「消えろ!」とか暴言をはいてる人たちがいますが、
あれ、親が同じようなことしてるから、子供が真似するんだってね。
ちょっとトラブルを起こした子やシングル親の子とか、貧乏な家の子をすぐ「犯罪者予備軍」呼ばわりする大人とかいるじゃないですか。ああいうのどうなの?という話なんですけれども、ニモーナはそういう大人に「皆さん、どう思います?」と疑問を投げかけまくってます。
このシーン最高でした。
「バリスタ」のように、その人の良さに気が付ける人物が次世代のヒーローになるんですね。
こまったなあ。長編アニメーション賞。これも本当に素晴らしい作品で、
個人的には「君たちはどう生きるか」に獲ってもらいたいのですが、私の今のランキングでいうと、
「ニモーナ」「君たちはどう生きるか」が同格1位で、「マイエレメント」が2位かな。
(スパイダーマンはまだ観てないので、ランキングに入れられません)
でも、「君たち…」かなあ。重いもんなあ。
とはいえ「ニモーナ」は差別の話で、
この映画を観た人達に向けた(皆さん、どう思います?)という
「問いかけ」のメッセージと、「救い」の力がハンパないんですね。
「君たち…」の方は、「人生はつらいことの連続だから、人はファンタジーに救いを求めるんです。私もそうでした」ということを宮﨑駿さんがカミングアウトしました的な超自伝+ファンタジック・ストーリーで、あのシロサギなんなの?!とつっこみたくなる場面が満載なのも、シロサギがあまりにもオッサンすぎて、作品に生霊が入っているというか、魂こめちゃってるし、アニメの世界の住人として80年以上生きてきたおじいちゃんたちがリアルに場面に入りこんじゃってて、アニメと精神の境界なんて、先生方って、もうとっくに境界なんてないんですね。
(これ、アニメ史に残るでしょ絶対に!)という作品なんですよね。
だけど、『千と千尋の神隠し』で賞をとったように、「ニモーナ」や「スパイダーマン」に現役で傑作を作ってる人達に賞をあげようよ!という流れにもなるやもしれず、どっちだろうなあ。
わからん!