バービー(2023年・米国・ワーナー)

1959年発売以降、世界中の女の子に愛されてきた着せ替え人形「バービー」。
 
今も子供たちに絶大な人気を誇るバービーちゃん。
この作品は、バービーたちの生きる世界、バービーランドの世界を舞台にしたファンタジックなお話で、
人間の世界にバービーとケンがやってきてしまい、人間の世界と人形の世界が大混乱、
どうする?!バービー&人間たちよ!というお話でした。
 

 

 

 
 

 

  リカちゃん人形派にとってTVCMを大量投下してのバービー人形発売開始は黒船来襲だった

 

私が子供の頃は日本製の「リカちゃん人形」で遊ぶのが主流で、
バービー人形を持っているのは米軍基地の中の米国人の子供たち、
日本人だったらお医者さんの子供とか、お金持ちの子供が持ってるイメージでした。
 

 

私の時代はだんぜんリカちゃんです!

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私が子供のころは、バービー人形は銀座のおもちゃ屋さんみたいなところでしか売ってなかったんじゃないかな。
お金持ちの子供がハワイなど海外旅行にいった時に買ってもらったと、見せてくれるのがバービー人形で、
遊ぶ時は箱から取り出して、また箱に戻すという別格扱いをされてたお人形さんでした。

 

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あるとき兄が「おまえのリカちゃんは、実はアメリカのバービー人形を模して造られたものなんだよ。
リカちゃんよりバービーの方が世界的には有名で、リカちゃんは無名なんだよ」というので、
息ができなくなるほど驚いて、「うそ!リカちゃんが最高なんだよ!バービーちゃん知ってるけど、知ってるのはリカちゃんだよ!」と、リカちゃんが最高なんだ!リカちゃんが最高なんだ!と私のリカちゃん愛はさく裂してゆき、
だけど、一度ちゃんと観察してみようと、興味しんしんだったのがバーニーちゃんでした。
 

 

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小学校高学年だったか中学生の時に、バービー人形が大型商業店舗の量販店でも買えるようになったんです。

 

「バービー」のテレビCMがはじまり、バービーちゃんはダイエーのおもちゃ売り場みたいなところでも買えるようになって、
急激に売り上げを伸ばし、2、3年でリカちゃんとバービーのシェアが一気に「5:5」くらいになったんじゃないかな…。
 
当時は日本にバブル期が到来して「ジャパンアズナンバーワン」とか言われていた時代で、
日本人はお金持ちだったので、子供が「バービーちゃんが欲しい」といえば「いいよ!」と、
親戚のや知り合いの大人がポン!と気前よく、家に遊びにくるときの手土産で買ってきてくれるような状況でした。
 
「なつこちゃんもバービーちゃんほしいの?」と聞かれた時に、本当はバービーちゃんに興味しんしんなのに、
リカちゃんに操を立てて、「私の友だちはリカちゃんです!バービーちゃんは要りません!」と言って、
買ってあげるよ!というのをお断りしたりしてました。だって、私はリカちゃん派でしたから。
 

 

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だけど、やっぱりバービーちゃんには興味があるので、
おもちゃ売り場にバービー人形を見に行って、しげしげと観察はよくしていました。
 
リカちゃんより背が高く、手足もスラッと長く、金髪の青い目のハリウッドスマイルのバービーちゃんを手にとって、
「人形でもこんなに体形差があるんだよなあ。スタイルいいな」と感心して、
服もぶっとんでる感じでお洒落で、モード雑誌から抜け出てきたようなお洒落な服ばかりで、「ザ・ファッションリーダー」という感じ。着せ替え人形版の黒船到来というか、バービーちゃんにリカちゃん帝国日本の開国を迫られてしまったような気分を体験しました。
 

 

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でも、リカちゃんと一緒に遊べるサイズ感だったので、そのうち、リカちゃん遊びでお友達と集まる時に、だれかが買ってもらったバービーちゃんを持ってきて、お人形さん遊びの場にバービーちゃんもどんどん参加するようになって、だんだんバービーちゃんが1体、また1体と仲間入りするようになっていきました。
 
 
当時はリカちゃんのお友達ハルミちゃんというのも新発売されいたので(今はハルミちゃんいないようです)、気が付いたらハルミちゃん、バービーちゃん、リカちゃん(他にもいろいろいたのですが割愛します)が私たちの大切なお友達になって(あっ!そうか、私中学生までお人形遊びしてました。本当にお人形遊びが好きで、同級生に妹さんがいて、同級生の家に遊びにいって、妹さんと一緒に人形遊びを「遊んであげてる」という態で、お人形遊び、中学生になっても続けてたんです。それぐらい、お人形遊びが好きだったんですね)
 
それで多様性の時代というもののは、お人形さんの世界で先に受け入れて、リアルの世界ではストレスフリーで、多様性の時代を楽しんでいます。

 

バービーハウスを持ってる子はほとんどいなくて、バービーちゃんも混ぜて遊ぶときは「リカちゃんハウス」を使って、バービーハウスはなかったです。お医者さんの家の子供の部屋で一回みたことがあったかな。あれは豪華でした。

 

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それから、沖縄でバービーハウスを持ってる子と出会ったのは、米国人でした。
米軍基地の子供と日米ちびっこ交流パーティがあって、米軍兵家族の家にホームステイしたら、そこの家の女の子の部屋にバービー人形とバービーハウスがあって、人形遊びは言葉が通じなくても完璧に成立するので、米軍ハウスの中で、バービーで人形あそびをした記憶もあります。
日本人も米国人も子供は同じ遊びをしてると、アメリカ人とは言葉が通じなくても、ほぼほぼ理解しあえるということを、お人形さん遊びをしながら学びました。
 
 

 

  「バービー」に特化したトイストーリー、人間の心が芽生えてきた人形の同一性障害的な苦悩

この映画、今年のアカデミー賞に何部門もノミネートされているそうです。

(作品賞、助演男優賞、助演女優賞、作曲賞、衣装デザイン賞、脚色賞、美術賞)。

 

なぜか主演女優賞と監督賞はノミネートされなかったんだそうで、

米国アカデミー賞、選考基準がよく分からないな…と思ったりするのですが。

 

 

助演男優賞にノミネートされたバービーのボーイフレンドの「ケン」の役をされたライアン・ゴズリングさんの演技は、頭が空っぽのお人形イケメンと、覚醒後のイケメンを見事に演じ分けていて、歌も最高にセクシーでキュートだったので、これは「助演男優賞ノミネートされるだろうな!」という納得の演技でした。

 

 

 

 

 

 

 

また、助演女優賞にノミネートした、普通の主婦で働く女性「グロリア」を演じたアメリカ・フェレ―ラさんは、このストーリーの鍵になる人物で、彼が扇の要、ゾクゾクする入魂の演技をされていて、これも「これは絶対助演女優賞ノミネートされるぞ!」と映画を観てる瞬間、確信してしまうくらい、良かったです。獲ってほしいなあ「助演女優賞」。

 

 

 

 

衣装デザイン賞、美術賞のノミネートは、これもやっぱり納得です。

だって「超ハッピーなバービーワールド」をリアルに作り込んでいるのですから。

 

バービー人形の世界自体がもともと「最高!」なので、それを最高の高揚感で映像化してくれた、バービーワールドに対するリスペクトをひしひしと感じられました。

「pink!」の世界にひたって恍惚とするこの感じ、秀吉が黄金の茶室を作った時に、千利休が褒めた「色」に圧倒されることで体感する不思議な力を賞賛したという話を聞いたことがありますが、それとおなじで「pink」の世界にひたりきると、ウキウキする高揚感で細胞の一つ一つが活性していくような多幸感に満たされて、これはすごい!

お見事!でした。

 

日本人がアイドルの世界にハマって抜けられなくなる、「キャピキャピ」の中毒性。

泣いてる女の子を笑顔にする魔法、それはキャピキャピ。

 

 

人は一面ブルーの世界に身を置くと(海と空)心が解放されるとか、一面緑の世界(森の中)に身を置くと穏やかな気持ちになるとか、色の持つ力を最大限に活用して作り上げたハッピーな世界。バービーワールドは「ハッピーの楽園」で、それを映画の大スクリーンに登場させてしまったのは、やっぱりすごい!

 

 

 

 

  虚構の世界で生きる者として(人形だから生きる者じゃないけど)、若きウエイテルじゃないけど、人形が悩みだす

 

そこからの、バービー批判が容赦なく始まるストーリーで、素直で明るくて前向きなバービーさんが、お人形なのに批判の全てを受け止めて、苦悩して、人間的に成長をしていく良いお話なのですが、「成長しても、あなた人形じゃないか!!」という矛盾と、「ハッピーワールド」の永遠のセンター、世界的アイドルのバービー、どうする?!!

 

 

まあ、私たちと子供時代一緒に遊んでたバービーが、人間と同じように考え出してしまうのが、またコミカルなのですが、これ悲観的な人が見たら、号泣するストーリーで、だけど、「楽しんでみてください」という制作者の思いがたくさん込められており、これはあまり、深刻にならず、楽しみながら、さくっと見た方がよいと思いました。

 

心を無理させないで、難しいこともあまり考えないで、ふわっとした気分のままで見ても全然OKなように作られている、良い作品だと思いました。

 

 

「ハッピーの象徴」のような人形を作ってしまった、大人たちの深い思いの吐露も、ところどころ登場してくるし、バービー批判(ルッキズムを増長させたとか、旧慣に基づいたジェンダーバイアスの固定化をさせているといった)に対しても、映画の中で真正面から問題提起して、ルッキズムのシンボルとされた白人金髪のバービー(オリジナル)自らが行動を起こす!という、この自己批判と改革の精神、明確な意思表示はさすが自由の国アメリカ!

 

 

 

  グローバルカンパニーは常に自己批判をして、反省したら前に進む

 

アメリカの企業は批判を受けたら正面から受け止めて、どんどん自分たちの改善の取り組みや、出来ることを全力でやってきます。マクドナルドも昔から「体に悪いから食うな」という批判を受けて、マクドナルドのメニューに含まれている化学添加物や脂肪の量など、全て公開しました。日本の食品の成分表示、あいまいな表記になってるもの、わりと多いですよね。「隠さず公表する」マクドナルドは、問題点を明確にするから、逆につきあいやすい。だから諸外国で受け入れられる、これが世界的企業の姿勢。

 

 

 

日本の企業もこれから、グローバルカンパニーになるべく企業努力して、日本のものづくりを発展させて、海外に販路を拡大していかなくてはなりません。明るく努力家で夢をかなえるバービーには販売元のマテル社の企業信念が盛り込まれており、この姿勢には学ぶところが多いです。このバービーちゃん人形一つとっても、世界の企業の姿勢が見えてくる。コメディタッチなのは、エンターテイメント作品だからで、その根底に流れているのは、子供たちの健全な心身の成長を願う子供の玩具メーカーの「すべての子供たちに夢を」という願いなので、経年劣化が始まった初代バービーとケン、多少皺が目立つ二人の自分探し。時代は変わる。

 

 

 

 

  多様性の文化が花咲く米国の企業が世界に訴えるのは「考え理解することの大切さ」

 

 

にしても、シャンチーの シム・リウ さんがアジア人の「ケン」で登場した時は、私が覚えてる着せ替え人形の彼氏に激似で、リカちゃんの彼氏だか、アジアン人のケンだか、どちらかのボーイフレンドに、ともかく激似で、大笑いして、笑いがとまらなくなりました。ちょっとマッチョすぎて、それもご愛敬なんでしょうね。私もアジア人なので、アジア人の「ケン」が出てくると気持ちが上がりました。世界中の国の人達がこの映画見て、多様性のある「ケン」の集団の中に「あ、私たちのケンがいた!」と喜んでいるのかもしれません。

世界で戦争が起きても、子供のお人形遊びは国境を越えて、守られる、守りたいと誰もが望んでしまうものだと思います。

だからこその「バービー」、いい作品でした。

 

コロナで世界が疲弊して、バービーだけ能天気というのも、そりゃ違うでしょうと。

人形だって人間の心に寄り添いたい! 

 

 

 

最近のバービー人形さんって、車椅子のバービーさん、ダウン症のバービーさんと、

多様性尊重社会のリーディング・ドールとして、21世紀の愛ある地球の仲間のリーダーになっているようです。

 

 

 

 

マテル(MATTEL) バービー ファッショニスタ人形 花柄のドレスを着た ダウン症の人形 全米ダウン症協会協力により作成 [並行輸入品]

ダウン症バーニーさん。かわいいよね。

私と顔が似てると言われてしまいました。

 

 

 

 

 

マテル(MATTEL)バービー(Barbie) バービー ファッショニスタ カラフルロンパース くるまいすつき /映画「バービー」に登場!?【着せ替え人形】 【3才~】 HJT13

 

Mattel - Barbie Ken Wheelchair Doll, Blonde with Sunglasses

 

 

Barbie Fashionistas Doll #189, Pink Hair, Off-Shoulder Floral Dress, Sunglasses, Prosthetic Leg, Sneakers, Toy for Kids 3 to 8 Years Old

義足のバービーさん。

 

 

 

 

障害を抱えて生きている人でも、心をしっかり保って、前を向いて生きていくんだ!と決意をして生きている人はとても明るくて爽やかで、「彼らと一緒に生きていきたい!」と思わせる、パワーを持っています。
 
尊敬する生き方をしてる人たちです。
だから「お人形」にして、彼らの輝いた笑顔をお人形さんにしたのかなと思いました。
 
バービー人形も最高の笑顔で車椅子に座っているし、「自分を信じている人の顔」「誇りを持って生きている人」の顔をしています。
 

 

 

多様性ダイバーシティの象徴となっている、新時代のバービーは、差別主義者との決別宣言で、最高の笑顔を見せて、魂の輝きの美しさ、前を向いて生きる人の美しさを表現してるんだと思います。