・マリー・アントワネット(2006年米国)

フランシス・フォード・コッポラ監督の娘、ソフィア・コッポラさん監督作品。
 
女の子の大好きな「お姫様」。
金髪に青い目の美女。
ドレスにリボン、宝石、お菓子にチョコ、シャンベン、お城に馬車、王子様にメイドさん!
 
2006年公開時に銀座の映画館で観て、今回見直しました。
当時は『ベルサイユのバラ』と『アマデウス』のことを思い出しながら、「おとぎ話の世界だ!」と豪華なお城やファッションやスイーツに目をうばわれて恍惚として満足して帰宅したのを覚えています。
 
今回もやはり豪華なお城やドレスやスイーツに目をうばわれて、恍惚としてしまいました。
ベルばら世代のせいか「女の子のあこがれるベルサイユのお姫様の世界」の圧倒的な魅力にヘロヘロになりました。
 
竜宮城に連れていかれ、あまりの楽しさに時を忘れて老人になってしまった浦島太郎のように、「あまりの美しさにすべてを忘れてしまう」、幻のような時間。
 
断言します。
お姫様の世界には中毒性がある!

 

ピンクの花柄のティーカップにジャスミンティーを入れて、色とりどりのマカロンを食べる!
レースにリボン、サテンのドレス。
お花に囲まれて、香水のいい匂い!
 
Kawaii、ここに至れり!

 

 

 

なのですが、「それがこの作品の短所」という見方もあるようです。

 
政治的な問題に触れてないし、彼女は幼いころから御妃教育を受けていて、しっかりとノブリスオブリージュをやっていたという史実があるのに、どうして、チャラッとした部分ばかり強調するの! もっと複雑な大人の事情もあっただろうに! という批判です。
 
フランス革命で宮殿を追い出されて、その後処刑されることを予感させるシーンも、最後の方にちらっと、ちらっと、「暴動の声」と「灯火」という形でにおわせであるのですが、残虐な市民の暴動のシーンは排除されています。
 
ラストの宮殿を去るシーンでも、馬車の中から美しいベルサイユ宮殿を眺め、メランコリックな表情で「さよならベルサイユ」とつぶやく。
最後の最後まで、乙女ちっくです。全編が「ガーリー」でした。
 
私たち、子供の頃から「お姫様ごっこ」をして大きくなりました。ドレスは毛布とシーツで、本気でお姫様になりきって遊んでましたよね。
おやつにブルボンのお菓子を用意してくれる、気の利いた友達のお母さんもいました。
私たちは子供の頃、マリーアントワネットでしたよね。
 
この映画、映画の始まりに「TOHOKUSHINSHA」と東北新社さんの名前が出てきます。
米国コロンビア映画で撮影地フランスの映画に東北新社。KawaiiJapanの国から、スポンサーでこんにちは?なのかな?
kawaii!を支えている今の世代のお嬢さんたちは、おそらく私の同年代の人達がお母さんです。
 
 

 

この作品、いい役者さんがそろってます。

 
まずは主役のキルスティン・ダンストさん。
輝くばかりの金髪と透き通るように白い肌、ピンク色のほほ、赤い唇。
おとぎ話に出てくる西洋のお姫様そのもので本当に美しかったです。
どこかで見たことがあると思ったら、スパイダーマンの彼女!
 
マリーアントワネットの母、 マリア・テレジア女帝を演じる マリアンヌ・フェイスフル さん。
なんとミックジャガーさんの元カノで、オーストリアの名家の血筋の方だそうです。
 
ベルサイユ宮殿の中でマリーアントワネットの教育係をつとめたノアイユ伯爵夫人は、
『インドへの道』の主役を務めたジュディディビスさん。
 
マリーアントワネットの恋人、イケメンのフェルセン伯爵 にジェイミー・ドーナンさん。
カルバンクラインを顔であるトップモデルさんで、アルマーニやアクアスキューダム、ディオール、ドルチェ&ガッバーナ等のモデルさんも務めてるとか。この作品が映画デビュー作とのこと。マリーアントワネットが一目ぼれするイケメンですからね。納得。
 
ちなみに、イケメンでないマリーの旦那様、寝取られルイ16世はコッポラ監督の従兄弟の俳優さんだそうです。
 
前フランス国王の愛人・デュ・バリー夫人に アーシア・アルジェント さん。
黒髪に白い肌、真っ赤な口紅がセクシー!
ホラー映画の巨匠 ダリオ・アルジェント さんの娘さんで、ご本人も映画監督でイタリアで活躍されている方のようです。
元娼婦で国王の愛人という難しい役です。マリーアントワネットとルイ16世が性的な関係を結べずにいて周囲から批判される中、性的奉仕で国王を虜にして同じ宮殿で王族のように暮らす元娼婦。「性」の問題が王室の中でどれだけ重要かを知らしめる役です。
王族と性の問題は、映画『女王陛下のお気に入り』でも意地悪な描き方がなされてました。お世継ぎ問題に直結するから、避けて通れない話題なんですね。
 
この映画、衣装がすごい!です。見ごたえがあります。

エンディングのスタッフロール、半分近くが衣装さんとメイクさんとヘアースタイリストさんでした。

第79回アカデミー賞の衣装デザイン賞をとってるんですよね。
 
この作品、ベルサイユ宮殿のレンタル料と衣装製作に予算を集中投下して、勝負どころを「ベルサイユ宮殿でのマリーアントワネットの生活を見せる」に絞ったんだろうなあと思いました。
 
この映画の続きとしてレミゼを観ると、歴史の理解がより深まって良いと思います。