【病気のご報告と代役のお詫び】
このSNSをご覧の皆様に突然ですが、ご報告があります。
実は今日で丁度、入院1ヶ月になります。
丁度ジャスト1ヶ月前の6/14、出先で右半身の麻痺が突然起こり、その場で救急車で搬送され、緊急入院となりました。
脳卒中でした。左脳の脳内出血を起こしてしまいました。幸い救急隊の判断で、近くにあった脳卒中専門病院に運ばれ、運ばれたのも早かったので直ぐに措置をして頂き、一命は取り留めました。
しかしながら、右半身に麻痺が残りました。
正直に言うと、病院へ搬送当初、私の足も腕も、1ミリも、ピクリとも動かなくなってしまいました、、、、、、。
出血は軽い方だった様で、投薬のみで手術はなく、まだ頭もボーッといていた入院当初時からすぐに、リハビリが始まりました。
現在、出血も収まり、同じ病院内の急性期病棟から、リハビリ専門の回復期病棟に移り、
1日4時間(日によっては5時間)にわたるリハビリを、2名の作業療法士(OT)、理学療法士(PT)、言語聴覚士(ST)、臨床心理士(PSY)、そしてリハビリ担当医師と総勢6名もの先生が担当頂き、リハビリでは毎度科目毎に、マンツーマンで付きっきりでリハビリをしてくださり、それ以外でも、空いた時間はずーと、指一本動かすのに何百回、みたいなことを1人で行い、自主リハビリも地道に重ねております。
当初、何で自分がとか、何で俺はこんなところいるんだろうとか、動かなくなったこの現実を受け入れることが中々出来ずに絶望しそうになりましたが、多くの皆様からたくさんの励ましの声を頂き、諦めることなく、リハビリを懸命に続けてきました。
結果、1ヶ月経った今日現在、足は、ほぼ普通に歩けるところまで回復しました(厳密にはもちろん重心とか深層筋とか、右足がまだですが)。
あと、
記憶力、注意力など高次能機能障害の検査でも、幸い、いまのところ障害は見つかっておりません。
あとは、右手と呂律です。
右手は上に上がるようになり、手もグーパーと出来るようになってきて、担当作業療法士や理学療法士の先生たちからは、発症1ヶ月で驚異的回復とはいわれていますが、日常生活に戻るには、また舞を舞うには、まだまだこれからです。
呂律も、言語聴覚士の先生の下で言葉の発声の練習と(大分普通に喋れるようにはなってきましたが)、なんといっても右半身が全て緩んでしまい、謡が下っ手くそになってしまったので、言語聴覚のリハビリ時間に謡の稽古をさせて頂き、日々、リハビリで謡を謡いながら少しずつ声の戻りを実感しつつも、稽古を重ねています。
発症当初は、能楽師に戻れなかったらどうしよう、このまま半身不随で生活はどうなるのか、と不安に押し潰されそうでしたが、
今は、
このままで終わってたまるか!!
必ず能舞台に戻る!!
絶対に戻る!!
何がなんでも戻る!!
と、自分自身を信じて、強く強く心に誓い舞台復帰を信じて、日々、時には3時間半以上休みなくぶっ通しでやることもあるハードなリハビリの日々を送っております。
身体を動かしながら、正に、脳に新しい回路を作るための再プログラミングをしている感じです。でも、地道にリハビリしていると、
ちょっとずつでも、進歩を実感出来ています。
リハビリ担当の先生方も、私が能楽師であることを御理解頂き、職業復帰するためのリハビリを考えて下さっています。
言語聴覚のリハビリでは、謡を謡い、理学療法の歩きのリハビリでは、板張りで摺り足の稽古もさせて頂いています。
数日前からは、右手で扇を使った稽古も始めました。
先生方も、山井さんが復帰された舞台を見に行くのを楽しみにしてます!と仰って下さってます。大変に有難いです(涙)、、、。
理学療法士とか作業療法士とかいうリハビリの先生方に初めてお会いしましたが、皆さん患者1人ひとりに親身に寄り添い笑顔で励ましながら、リハビリしてくださるのは涙が出そうで、頭が下がります。
医師、看護師の皆さんと共に、尊いお仕事と、尊敬します。
現在のところ、8月末頃まで入院を予定しています。
舞台は今のところ9月からの復帰を目指しています。
なので、明日の7/15(月祝)国立能楽堂での座SQUARE 能「鞍馬天狗」のシテは、私にとっての一番の心の兄・高橋忍さんに代役をお願いしました。
宗家はじめ流儀一門の皆様、座SQUARE メンバー、出演能楽師の皆様には、ご心配ご迷惑おかけし心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません!
そして、何より、明日お越し頂きますお客様に、お詫び申し上げます。
申し訳ございません!!
明日は、私の魂だけは、舞台へ飛ばします!!
高橋忍さんはじめ出演能楽師皆さんが、私の分まで熱演して下さると確信しておりますので、明日は是非、国立能楽堂へ足をお運び下さいませ!!!
国立能楽堂へ足をお運び下さることが、即ち、私への励ましと、応援になります。
明日の鞍馬天狗では、花見の稚児という、子供たちが、大勢出ます。その中の4名は、私が地元久良岐能舞台で指導している子供たちです。子供への指導も含めて、何もかも先輩や後輩能楽師にお任せとなってしまい、申し訳ない気持ちしかないのですが、私へ励ましの寄せ書きや映像を送ってくれた、その子供たちが明日は立派にやってくれることと、確信しています。
仲間の能楽師が有難いやら嬉しいやら、舞台に出れないことが悔しいやら、、、皆様からの励ましが有難いやら色々な感情が込み上げてきて、ひとり、病室から見える空を眺めながら、涙がこぼれてくることもあります、、、、、、
悪趣味と思われるかもしれませんが、
今回、私は私の病気を公表して、闘うことにしました。
それは、世の中には、私の友人や知り合い含めて、私と同じように脳卒中になる方々が大変に多い、ということを知ったからです。
今や日本人の、6人に1人はなる病気だそうです。
また、私が今いる同じ病棟には、私よりも大変な病状でも懸命に何ヵ月もリハビリに励んでおられる、今回知り合いになり励まし合うようになった、多くの仲間となった方々がいるからでもあります(そういう方々からも山井さんの舞台をみんなで見に行きますよと言って頂いています)。
必ず、打ち克つ。復活する。
それを宣言するために、敢えて、SNS で一般に公表することを決断しました。
負けてたまるか!!
必ず、応援して下さる皆さん、待っていてくれる仲間のいる舞台に、戻ります!!
今回、人生の勉強をさせて貰っていると考えています。今回の経験は私の能楽師人生にもきっとプラスに働いてくれると信じています。
薄紙を日々、重ねていくような毎日ですが、挫けずに不屈の魂で頑張ります!!
明日の座SQUARE公演は、申し訳ございません。
以上、長文となりましたが、ご報告申し上げます。
どうぞ今後とも宜しくお願い申し上げます。
山井 綱雄