ROAD TO 光の素足

第3話 昨日、初の全体申し合わせ



昨日、家元宅で、初めて全体申し合わせ(リハーサル)を行いました。

能は通常、普段の公演でも、公演の数日前に軽く一回出演者全員が集まっての「申し合わせ」と我々が呼んでいる通しリハーサルを行います。

(因みに、この通しリハーサルが無い公演も、能では結構あります。つまりは、ぶっつけ本番です!)

しかし、さすがに、新作能ではそういう訳にはいかず、昨年の夏から、家元宅に度々集合して、この新作能光の素足の作品作りは行ってきました。


能の根幹である謡(うたい:能の声楽)は、家元金春安明先生により、金春流版の節付けを、作者の中所さんの作られた通りに付けて頂きました。

そして、それを実際に謡って頂く金春流一門の能楽師の皆さんに、家元や中所さんを交えて、実際に、やってみながら、ああだこうだと作り上げていったわけです。


実際の舞台での舞や演出は、中所さんからはどうぞ自由にやって下さい、と言って頂き、中所さんが今までやっておられたことも参考にしながら、自分で色々考えながら、肉付けしていきました。

この辺りは、やはり他のジャンルと沢山のコラボの経験と、そして、この40年の能楽師舞台生活のキャリアと、能のシテを140番以上も勤めさせて頂いてきた貴重な経験を総動員して、考えてきました。


それが、ひとつ、昨日は初めて形になった訳です。

地謡は、有名な『雨ニモマケズ』の全文が後半の盛り上がりに出てくるのですが、言葉は大変に有名ですが、お囃子の『地拍子』という能の音楽のリズムで謡うことが大変で、でも、お囃子とスイングして、素晴らしい地謡になりつつあります!

私としては、新作能ですから、極論を言ったら何をやっても許されます。しかし、能とは何なのか??こういう、当たり前のことに行き着きます。

そして、私は、『光の素足』を演じる訳ですが、宮沢賢治その人と向き合うことになります。

そのことが、ずっと、私の頭のなかから離れませんでした、、、


師匠に教えて頂いてきた金春流伝来の型を駆使して。そして、それ以外にも、作品と向き合って、自分の中に湧き出るものを、型にしていく、という作業と、同時並行でした。


そして、ひとつの形となった、金春流版の新作能 光の素足。


これは、いける!!そんな、手応えを感じました。


(続く、、、)