昨日、金春会定期能「弱法師」、上演しました。


昨日は、やはり駆けつけて下さったお客様は少なくなってしまいましたが、でも、想像よりも多くの皆様がお越し下さいました。

こんな状況でお越し下さったお客様、心より御礼申し上げます。

ありがとうございました!

m(_ _)m


このような未曾有の大災害の2日後に、わざわざ開催すべきなのか?
中止というのも、正論だと思います。


しかし、私達は開催を決断しました。


私は、昨日の能は、俊徳丸がとうだとか弱法師はどうこうということは度外視し、祈りを込めて、精一杯勤めました。


出演者一同、そして、観客の皆様の心も中止一つとなって、皆で祈りを捧げる、特別な舞台となりました。


弱法師の中で、俊徳丸が天王寺に祈りを捧げる場面がありました。

私はこの場面で、被災地への祈りを捧げました。


そして、終了直後に地謡が通常「附祝言」(つけしゅうげん)というのを謡うのですが、私からお願いして、「追加」(ついか)という、追善能などで謡う謡を謡ってもらうことにしました。


ところが、いわゆる「追加」は、余りにも追悼という意味合いが強く、今日謡うのには相応しくないし、謡いにくい、という意見が出ました。

そこで、楽屋で皆で考えたところ、地頭の高橋忍さんから、「佐渡」最後を謡うのはどうか?との提案がありました。

「佐渡」は、恩師 79世故金春信高先生が唯一、作られた新作能です。


シテの世阿弥が、左遷させられた佐渡島で、東の空からの日の出を見つめ、未来への希望を込めて合掌する、というラストシーンの謡を謡いました。

先日のピアノコラボでも、引用させて頂いた一節です。


黄金の島のほのぼのと

あしたの空は茜さす

あしたの空は茜さす



日本人の勤勉さ、規律正しさは、今、世界中から賛辞の声が挙がっているそうです。


日本は、まだまだ捨てたもんじゃない!


これから、皆で頑張って、前を向いて歩いていきましょう!


そして、私としては、「チャリティー能」など、いづれ企画して、何か出来ることを形にしたいと考えています。

関係の皆様、よろしくお願いします。


昨日は、ありがとうございました。


そして、追悼と祈りと希望を込めて。