先月の話ですが、、、

8/24(日)、再オープンした喜多能楽堂での、ひとつのはな にて、能「融クツロギ」のシテを勤めさせて頂きました!
お越しくださいました皆様、ありがとうございました😊😊❗️

久しぶりのフルの、ガチの能のシテでした。
90分に及ぶ舞台を、無事に勤めさせて
頂きました。
当日は、午前中から鼎談や、五流の愉しみ などもあり、それから最後が能融でしたので体力的にもチャレンジでしたが、無事に乗り切ることが出来ました!

今の自分で、精一杯、勤めさせて頂きました。
ありがとうございました😊😭❗️

そして、その2日後、8/26には、国立能楽堂で、東西合同養成発表会 でした!
奈良の御分家金春穂高さんの長男飛翔くん、次男嘉織くんによる能「高砂」の地頭を勤めました!
飛翔くんからのご指名で、地謡前列は長男綱大と、弟子の岩間、立本が並びました。融の地謡といい、役を頂けて有難い限りです。とても勉強になったようです。

若さ溢れる舞台に、私も精一杯謡わせて頂きました。
息子も初参加で、懇親会では挨拶をさせて頂きました。

若い能楽師の皆さんが大勢出演しました。素晴らしいことです。

1人1人が、能楽界の宝。

頑張っていって欲しいです。

そして、知ってる方々のお子さんが多く出られていて、もうそんな歳なんだなぁと、過ぎ去った月日を想う、懇親会でした。











8月21日、横浜三溪園にて、日本政府・国連等の主催で開催された「TICAD9 アフリカ開発会議」の一環の公式行事として、アフリカ大統領配偶者の皆様への総理夫人主催のおもてなし会として、能「羽衣」をご覧頂く機会を得ました。

長男綱大に解説をさせて、能に内包する日本の心、自然を愛する心、共存共栄し幸せを祈る平和の心をお話しさせて、引き続き能「羽衣」をご覧頂き、私がシテを勤めさせて頂きました。

三溪園の文化財の建物にて、お座敷で至近距離でご覧頂きました。大変に熱心にご覧頂きました。

その後、能の囃子・小鼓、大鼓、太鼓を、総理夫人はじめ大統領配偶者皆様に体験して頂きました。
囃子方能楽師の指導が結構みんなガチで(笑)、かなりガッツリの体験会となりました。皆様の笑顔も見えて、楽しく能の鼓を体験して頂きました。

私はうちにある由緒ある古い能面を持参し羽衣で使用して、身近に実物をご覧頂くと、「え!本当に、400年前のものなんですか!!!」(実際は通訳入れての英語でしたが)と皆様大変ビックリされておられました!!

地謡は、我が金春流の女性能楽師達「み絲の会」の3名、村岡聖美、柏崎真由子、林美佐が勤めました。
アフリカ大統領配偶者の皆様の前で、女性能楽師の活躍をご覧頂けたことも、大変意義深いことと思います!

実はこうして、外国の国賓クラスの皆様に、日本の国体として能楽をご覧頂くことは、実は今までありそうで、あまり無かったことなのです。

公益社団法人能楽協会でも、世界のVIP訪日の際は、我が国の国体である能楽の披露を!ということは国の方にも働きかけをしているところなのですが、今回はそれとは全く異なるご縁でのご披露となりましたが、一つの前例として、極めて意義深い機会でした。

国の公式行事をさせて頂けた名誉はもちろん、我が国の国体をきちんと外国の主賓にご覧頂くことは、大変にこれからも大切になることと思います。

能楽を正しく、正当に知って頂き、かつ、日本の素晴らしさもアピール出来て大変に素晴らしい機会でした。

NHKニュースで取り上げて頂きました!
総理官邸のホームページから
今話題の「国宝」、遂に観に行くことが出来ました!!

色々想うことはありますが、先ずは舞台
シーンが見事。映画になると本当に美しい映像になりますね!

そして、「役者」(能楽師も舞台で生きる役者ですので)という生き物を御理解頂けるかなと(主人公達の行動をすべて肯定するという意味ではなく、です)。

そして、能では世阿弥の教えで「花」といいますが、舞台で「花」を咲かせることがいかに大変なことで、いかに残酷なことで、またいかに尊く美しいことであることを、再認識しました。

人生の浮き沈みや苦楽は誰にでもあることであり、役者(能楽師)とて同じこと。
それを曝け出すことが出来る(昇華出来る)場があるということは、役者(能楽師)は幸せなのかもしれません。

それから、主人公の晩年で、インタビュアーが「貴方は今まで順調な役者人生でいらした訳ですが」みたいなことを言う場面があり、正直カチンときました、、、
どんなに外から順風満帆に見えても、順調な役者人生なんて有り得ません。
仮に、順風満帆な役者人生を送った役者がいたとして、その役者の舞台は果たして素晴らしいものになるのかどうか、、、甚だ疑問です。

私は血や家柄も大切なことと重々理解しておりますが、率直に言って、「環境」なんだと思います。
そして、「覚悟」と「執念」。
努力も当然必須ですが、その辺りもとても重要かと感じています。
(恩師故79世金春信高先生からは、ハングリー精神を持つことの大切さを繰り返し説かれました。今も私の心に常にある大切な教えのひとつです)

昨年、右半身全麻痺になった時、真っ先に思ったことは、日常生活が送れなくなる、ということでなくて、舞台に立てなくなる、という恐怖でした、、、。

「誰が何といおうと、絶対に舞台に戻る」。
日常生活が不自由でも、とにかく舞台に立てるように回復したい、それが私の発症当初からの願いでした。
仮に手足が戻らなくても、私は舞台復帰していたと思います。(近年、中村福助さんが舞台復帰されましたね。本当に素晴らしいです!)

実はこれは初めて明かしますが、右手が全麻痺であった発症当初、右手で持つべき扇を、左手でどう持つか、どうやったら左手で舞えるように出来るか、なんていう荒唐無稽なことを、本気で考えていました。
私も能楽に舞台に全てを捧げて賭けてきた「役者馬鹿」なのかもしれませんね、、、(苦笑)

「舞台に立つ」ことは、能楽師にとっても、「生きている」こととイコールな訳です。

自分の生きている「能楽」という世界のこと、「舞台に立つ」ということ、舞台で「花」を咲かせるということ、、、

そして、少しでも舞台で素敵な「花」を咲かせたい!

色々を考えさせてくれた、映画「国宝」でした。