今回読んだのは「未来への約束」、グループホーム「PWL」で暮らす人々のエピソードがたくさん載っている本です。

 

「PWL」は「PLAY」「WORK」「LEARN」の頭文字を取ったもので、ただ一緒に暮らすだけでなく就労支援も行っている施設になります。

 

知的障がいというのはやはりなかなか理解されず、かつ自分でも認められなかったり、全く自覚がなかったり、制御できなかったりと、本人も周りの人も苦労してしまうのだと思いました。それでもそれを放置するのではなく、全力で守ろうとする姿勢が著者であるPWL代表箕輪さんから感じられました。

 

発行されたのが2004年と、少し前の話になるのでスマホがなく、携帯電話を用いる時代の話です。

何回か違う人なのですが、携帯電話に依存してしまい、知らない人と連絡を取ってグループホームから逃げ出してしまう人の話が出てきました。今の時代で言えばSNSで知り合った人の家に泊まりに行く、のようなことなのでしょう。

 

年齢で言えば成人していて、警察に言っても自分で決めたことなのだから、と真剣に取り合ってもらえないような家出ですが、それでも説得して探し回る様子が書かれていました。そして大概は騙されて不当に働かされていたり、その子の事情を聞けば離れていくような人と一緒にいたりします。

 

意思疎通ができて、一人で動くことができる、身体障がいのない人たちが自分で決めたこと。それは確かに尊重され、他の人が鑑賞することではないかもしれませんが、誰でも正しい道を選ぶのは難しいです。あとからどうしようもなくなってから後悔しても遅いです。

 

知的障がいを持つ方にとって、その選択の難易度が他の人より高かったり、後悔するのが遅くなってしまったり、それだけなのです。だからこそ途中であきらめずにそういった方たちが幸せになれるよう語り掛け、探し続けるというのは過保護ではなく、必要な支援の一つになってくるのだろうなと思いました。

 

 

 

障がいを持った子供を持つ方と、お話する機会がありました。車いすに乗った、医療的ケアが必要な子供がいるご家庭で、階段のみの3階建ての一軒家、普段からよく苦労されているそうです。その際に家を改修する予定などはありますか?と聞いてみたところ、やはりそう簡単には難しい、予算の問題もあるし、そもそもいつまで一緒に暮らすんだろう、と。

 

これについて私はうまく言葉にできないのですが、ただそのふとこぼれた言葉が印象的でした。

 

難しいですね。