普通のセッティングだけではもったいないDSPの使いこなし。 | くるまの達人

くるまの達人

とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

わたしは、audisonというイタリアの
カーオーディオ専業メーカーのDSP
機材を使っています。



AP 4.9bit
AP 8.9bit
AP F8.9bit
AP 5.9bit
というパワーアンプ内蔵タイプと、

bit nove
という、パワーアンプレスタイプです。


パワーアンプ内蔵タイプは、車種によ
って必要に応じた出力のものを使用し
ます。もちろんすべての機材をテスト
用に所有してますから、それぞれの車
種用のスピーカーシステムに合う機材
を、実際に試して決めています。

車両に加工や改造をせずに、格好よく
安全に取り付けることも大切ですから、
その点も考慮した機材選びになります。




車載用DSPを販売しているメーカー
はいくつかありますが、audison製を
選んだ理由がいくつかあります。

まず、パワーアンプの音が素敵だとい
うことが挙げられます。

アナログ時代からカーオーディオが好
きな人は、VR209というパワーアンプ
をご存じかもしれません。スピーカー
システムの製作を始めるずっと前、個
人的な趣味でカーオーディオにずっぽ
りハマっていた頃、何機も何機も買い
換えながら、これは素晴らしい! と
感動した2つのパワーアンプに出会い
ました。そのうちの1つが、audison
VR209です。ググってみてください。
世界的にとても評価が高いアンプです。


前回のブログで、デジタル技術は規格
だと書きましたが、アナログ回路技術
は良くも悪くも個性そのものです。
上記のAPシリーズに内蔵されているパ
ワーアンプは、PWM技術を使った、
言ってみればデジタル的なアプローチ
のパワーアンプですが、最終的にスピ
ーカーユニットを鳴らすわけですから、
アナログ回路が存在します。このアナ
ログが係わる回路作りに、きっと彼ら
なりのルールを守るための素晴らしい
ノウハウがあるのだろうと感じます。

かつて虜になってしまったVR209に通
じる、とても歌心のある音楽性の高い
音楽のなら仕方をします。かといって、
ナヨナヨしている気配は微塵もなく、
力づくよく骨っぽい音楽の土台をしっ
かり作ります。この絶妙な塩梅が見事
で、これはこのメーカーの色なんだと
思います。艶っぽさはVR209により飴
色っぽいものを感じますが、透明感の
高さはAPシリーズ。そしてどちらも、
とても丁寧な音を積み重ねて音楽を作
ってゆきます。

このパワーアンプの音色が、audison
の最大の魅力です。





アンプレスのbit noveというDSPも
使います。DSP機能的にできること
は、アンプ内蔵のAPシリーズをほぼ同
じです。ただしbit noveは、プリセッ
トできるセッティングデータが4メモ
リー(APシリーズは2つ)できて、デ
ジタル入力端子が2系統(APシリーズ
は1系統)あります。

この特徴が必要であれば、ぜひ使いた
いという機材です。

例えば現在、フルセットで仕上げたW
124でぜひ楽しんでもらいたいセッ
ティングデータは、3つあります。

運転席にドンピシャで合わせたもの、
リアシートにゲストが乗っているとき
でも車内の全員で音楽を楽しめるもの、
そしてコンサートホールで録音したフ
ルオーケストラの臨場感を堪能できる
もの、です。

この3つのセッティングデータをすべ
て楽しんでいただくためには、APシリ
ーズのメモリー数では足らないんです。
そこで、bit noveの出番となります。
4つ目のデータはオーナー氏の任意で
設定しますが、助手席に合わせたセッ
ティングでというケースが一般的です。

2つあるデジタル入力端子は、運転席
と助手席、運転席とリアシート、iOS
用LightningガジェットとUSB-C端子ガ
ジェット、のようにセットアップして
おけばとても便利だという人もいるで
しょう。

このように、必要に応じて使い分けれ
ばいいと思います。

ただ、bit noveはパワーアンプレスで
すから、パワードサブウーファーを使
用するW124でも8チャンネル分の
パワーアンプを用意する必要があり、
それらをどこに格納するかという問題
が生じます。現時点で500Eを含む
W124、C124ならば、上の写真
のように驚くほどスマートにbit nove
を導入することができます。ロードス
ターでは、NAならば車両加工なく、
邪魔にもならず、格好よく取り付ける
ことができますが、その他のモデルで
はどのように取り付ければいいか、そ
こがとても難しくなります。


そっかぁ、外付けアンプが別に必要な
のかぁ、という点をマイナス要因に感
じられた方も多いと思いますが、大好
きな音質のパワーアンプを使うという
楽しみ方もあるという話を今回の最後
にしておきます。




例えばこのW126では、bit noveに
Made in USA時代のRockford製アナロ
グパワーアンプを組み合わせてセット
アップしています。

前段で書いた、アナログ時代に出会っ
た最高のパワーアンプのもう1つが、
Rockfordのpunch 160X4というパワー
アンプなんです。audisonのVR209が飴
色の滑らかさだとすると、Rockfordの
punch160X4はウッドベースの胴鳴りを
ウッドベースを抱いて演奏していると
きに聞こえるようなゴォっという地鳴
りのような響きまでそのまま聴かせて
くれるような力強い繊細さにあふれた
音です。

さすがにひと様のクルマにお勧めする
には、古すぎるかなと思い、写真の
W126で使っているパワーアンプは、
わたしがノックアウトされた
punch 160x4より一世代新しいもので
すが、同じような傾向の音で鳴ります。
Rockfordはこの世代までが、made in
USAでした。

この組み合わせで鳴らしたときの動画
へのリンクを、以下に貼り付けておき
ます。

【W126 speakersystem ver.2
  bit nove x Rockford punch 動画】


サックスのかすれ味がほんとうに泣け
るような甘い響きで鳴ります。背景の
ドラムやピアノとの分離感がめっぽう
よいことも、この泣きの響きをまるで
浮き上がってくるように際立たせてい
ます。この傾向は、ボーカル……特に
女性ボーカルの少しハスキーな声色を
感じるフレーズなんかでドキッとする
ような聞こえ方をします。

アナログパワーアンプは、実に個性的
で、時を越えて一級品として通用する
音色を備えているものが、たくさんあ
ります。音楽を楽しむという行為は音
波の解析作業ではないので、数字で表
すことができる性能は、人の心の感動
の大きさと完全に比例しているわけで
はありません。

1980〜90年代のアナログパワーアン
プは、日本製、海外製ともに、それぞ
れとても個性的で独自性のある回路で
構築されていました。もし、さらに深
みにはまってみたいのであれば、
bit noveを導入して、パワーアンプだ
けを好みの1台に巡り会うまでどんど
ん入れ替えてゆくのもいいと思います。

楽器のように音色で語れる往年のアナ
ログパワーアンプの粋の粋を、最新の
デジタル技術で存分に引き出して、愛
車の中に大好きな音楽空間をつくる。
家では体験できないような、体中で音
楽を浴びるエモーショナルな体験がで
きるキーを手のひらに持ち、いつでも
好きな景色の中で好きな音楽に浸る。
本気でやってみたいというのであれば、
お付き合いします。

下の写真は、わたしのW126、在りし
日のトランク内の写真です。パワーア
ンプやらネットワークデバイスやら、
取っ替え引っ替え入れ替えながら15年
くらい前にこの状態にようやく辿り着
きました。




この時は、天面に逆さに取り付けてあ
った機材を取り外して、手前に並べて
ます。いったい何をしようとしていた
んでしょうね、覚えていません。右か
ら2番目のパワーアンプが、先にお話
ししたaudisonのVR209です。

ここまでやっても、総合的には現行品
のAP 4.9bitの方がはるかにいい音で
鳴りますし、音づくりも細かくできま
す。けれども、VR-209というパワー
アンプの音をまた聴いてみたいな、と
思う気持ちもあって、やっぱり普遍的
な価値を持つ製品というのはあるとい
うことのようです。

今ならこんなにたいそうなことにはな
らず、ずっとすっきり仕上がるはずで
す。お金は掛かりますが、生きてるう
ちに、聴覚が衰えないうちに、辿り着
いてみたいイメージがあるんです、と
いうことであれば、お付き合いします。
昔むかし、わたしもそうやって楽しん
でいましたから。



ともかく、そういう楽しみ方ができる
のです、ということくらいは覚えてお
いてください。実際の相談は、個別の
相談案件になりますので、スピーカー
システムお申し込み時に希望を教えて
ください。

そう、スピーカーシステム、まもなく
受け付けを再開します。





※ぜひ、Facebookでわたしをフォロー
してください。ブログよりも更新が楽
なので、スピーカーシステムの話、ク
ルマの話、はるかにたくさんの発信を
しています。簡単な動画ですが、スピ
ーカーシステムの音を車内で録音した
ファイルも、Facebook内にはたくさ
んあります。下のFacebookのURL
から飛べます。

山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
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