W124/E500 スピーカーシステム(その2) | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

昨日のブログの続きです。


……といういきさつでお預かりした、
大切な1台を、オーナー氏の想いに沿
って仕上げてゆきます。といっても、
音楽空間の創造と、その作業中に少し
手を伸ばせばできることまでですが。




では、“続き”の本編を。

まず最初に、必ず現状のシステムで音
楽を聞きます。音楽表現の特徴的な要
素がとてもわかりやすい音源が何曲か
あります。世界標準みたいな曲がある
わけではなく、その人の聴覚の特性違
いはもちろん、自分が創ろうとしてい
る音楽空間のイメージによって、その
人それぞれの選択になるはずです。音
質だけでなく、曲の中に込められた理
屈がどれだけ的確に表現できているか
ということを聞き分けやすい音源とい
うのも、あります。音楽は感覚的なも
のですが、一定の理論に乗っかって展
開されている数学としての側面も持っ
ているので、どうしても分析したい何
かがあるときは、そのようなアプロー
チも可能ということです。音楽を聴い
て楽しむことには不要なことですが。

そしてこのクルマ。前回書いたように、
ごく初期ロットのスピーカーシステム
が装着されていたのですが、実は、わ
たしがスピーカーシステムで実現させ
ようと目指している音とはまったくか
け離れた音で鳴っていました。
 





音楽は創った人次第、聴く人次第なの
で、このシステムには相応のイメージ
があってそれを目指したものだろうと
考えるのですが、それがわたしのイメ
ージするそれとは違うと理解します。
ただ、高音が耳に辛く(初期ロットの
W124スピーカーシステム・オリジ
ナルは、少しやり過ぎて音の輪郭が甘
くなったかもしれないくらい、高音の
耳あたりに気を遣った回路を入れてい
たのですが……)、中音域が乾いた感
じで(中音域がカラッと乾いた感じは、
このスピーカーシステムの特徴なので
すが、やや薄さが目立つことがあるの
で、そこは周辺の音との調整で創りあ
げてゆく世界です)、低音域は他人ご
とっぽいほど遠鳴りしているような感
じで、中音域にすごく被っていて、切
れ味ももっとタイトに締めたい。とて
も厳しいですが、そういう感じをうけ
ました。写真は、トランク奥に設置さ
れたパネルに取り付けられていたサブ
ウーファーを取り外しているところで
す。






リアスピーカーは、HELIXというメー
カーのものに交換されていました。リ
アスピーカーの音づくりは、本当に難
しいです。まずフロントスピーカーの
奏でる音楽が、本当に素晴らしく心地
よいものであることが前提になります。
そして、その音楽の鳴り方がなぜこん
なに心地よいのかということを完全に
理解した上でなければ、リアスピーカ
ーに分担してもらうべき役割をイメー
ジできないからです。これは何度も言
うことなのですが、イメージが先行し
ないクリエイティブは存在しません。
いろいろやっていたらうまくいった、
ということはまずあり得ないほど、選
択と加減の項目は無限にあります。た
った54個しかないひらがなでさえ、た
った12個しかない音階でさえ、適当に
ならべて人の心を響かせる順列は完成
しないわけですから。W124のオー
ディオでいえば、リアスピーカーは、
音楽空間を形作る構成物の中で後順位
にあります。つまり、前順位にあるす
べての要素にそれぞれあるイメージの
総論の、そのまた上に被せていかなけ
ればならないというわけです。







嗚呼、ねじをぶち込んでしまったので
すね。これは、音とは違う意味で、わ
たし的にはとても残念な光景です。作
業のついでに穴を塞いで差しあげるこ
とは……不可能です。








11年間頑張ってくれたforW124オリジ
ナルと、これからたっぷり頑張っても
らうシリーズ3、引き継ぎの写真です。






W124リアスピーカーキット、フロン
トと同じ値段なんて高すぎでしょ、と
いう評価のようです。なんと3年間で
15セットしか売れていない廃番候補筆
頭の大赤字製品です……あはは。でも、
前述したようにとてもとても開発が難
しかったアイテムです。もう一度言い
ます。リアスピーカーは、鳴っていれ
ばいいわけではなくて、目立ってはい
けないけれども なくてはならないポ
ジションを確立しなければならない、
そういうヤツです。DSPでのフォロ
ーが必要になる理由もその辺にありま
す。

まだ続きを書こうと思います。



次回までのツナギ写真を4枚。スピー
カーのカバー、ボロボロのスポンジを
取り去り、差ランネットという音響的
に透過性の高い生地に貼り替えます。
分解が必要なので、ついでに綺麗に洗
浄して組み戻します。スピーカーユニ
ットを紫外線から守る効果に期待して
いるわけですが、見た目も間違いなく
引き締まります。













今回、以上。


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なので、スピーカーシステムの話、ク
ルマの話、はるかにたくさんの発信を
しています。簡単な動画ですが、スピ
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山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
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