W124、試聴会で使用した機材につい て、その3。 | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

なかなか書く時間がとれず、ずいぶん
のんびりなペースになっていますが、
試聴会で使用した機材について、その
3は、audison(オーディソン)製
DSP内蔵パワーアンプ、です。





試聴会では、W124セダンにオーデ
ィソンのPRIMA AP 8.9bit、
S124ワゴンに同4.9bitを使用
しました。

どちらも高性能DSP(デジタル・シ
グナル・プロセッサー)が内蔵された
パワーアンプです。両者は、パワーア
ンプの構成が異なるだけで、DSP回
路は共通です、

パワーアンプの出力(定格)は、
4.9が70W×4、
8.9は130W×4 です。

※共に、4Ωインピータンスのスピー
カーユニットを使用するW124スピ
ーカーシステム・シリーズ3、W12
4リアスピーカーキットを使用した場
合の出力です。

手軽に高音質が楽しめるCD/USB
ヘッドユニットとしてお勧めしている
パイオニア製DEH−970は、同条
件で使用した場合、最大出力で50W
×4です。定格出力は公表されていな
いのですが、広く普及している同出力
のパワーアンプ用素子を使っていると
想定した場合、そのテクニカルシート
によると、22W×4ということにな
ります。

DEH−970との比較でもわかるよ
うに、4.9、8.9ともに、十分な音量で
W124の車内を満たすことが出来ま
すが、ボリュームを絞った位置で使用
することができる8.9では、よりノイ
ズの少ない領域で音楽を楽しむことが
出来ます。このことは、特にフルオー
ケストラやピアノなど、ダイナミック
レンジの広い(小さな音と大きな音の
差が大きい)音源で特にメリットがあ
ります。

今回の試聴会で初お披露目してとても
好評だったフルオーケストラを臨場感
たっぷりに楽しむセッティングモード
では、大出力パワーアンプを備えた
8.9の持ち味が一層引き立っていたと
感じています。



DSPの構成は、4.9、8.9共通です。
クロスオーバーネットワーク、音量レ
ベル、イコライジング、タイムアライ
メントが、全チャンネル独立して調整
できます。

もちろんこれらはすべてデジタル処理
によるものですから、3チャンネル用
意されている入力系統のうち、デジタ
ル入力端子を使えば、入力段でのAD
C(アナログ信号をデジタル信号に変
換するコンバーター)を減ることでの
音痩せや、外部からのノイズの介入の
影響を受けることなく、最高のパフォ
ーマンスを発揮できます。

そしてもちろん、音質のクリアさや、
現在一般的に入手可能で汎用性の高い
192kHz/24bit(flac)とい
う規格のハイレゾを高音質のまま再生
できることは、この機材を選んだ当然
の理由です。




機材の説明が長くなりました。いよい
よここからが、スピーカーシステムを
使った音づくりに、この機材をどのよ
うに使っているのかの説明です。



今回の試聴会では、W124リアスピ
ーカーキットのお披露目でもありまし
た。リアスピーカーキットは、W12
6、W201でもまもなくお届けでき
る段取りで作業を進めています。また、
同じユニットを使ったS124用のリ
アドアスピーカーキットについても、
今年最初の開発テーマに据えています。

試聴車として用意したわたしのW12
4(セダン)、試聴会にて最高の評価
をいただくことができました。

それは、シリーズ3が実現した、音の
細やかさ繊細さ、10cmに満たない口
径が信じられないダイナミックレンジ
の広さ、活き活きとした粒立ちのよい
ドライブ感、軽快なのに分厚い独特の
音色、迫力と聴き疲れのなさの両立へ
の驚きに加えて、4スピーカー化とい
う構成を得ることで初めて挑戦するこ
とができた音像の立体化への驚きと評
価だと認識しています。

W124スピーカーシステム・シリー
ズ3と、W124リアスピーカーキッ
トは、デンマークで作られるスキャン
スピーク製の同じモデルのスピーカー
ユニットを使用しています。

けれども、フロントとリアのイコライ
ジングは同じではありません。

フロントには、これまで通り音楽の表
現をどれだけ生々しく豊かに美しく表
現するかということに的を絞ったイコ
ライジングを施しています。

一方、リアには、そのようにして創り
あげたフロントが奏でる音楽をより立
体的に目の前に浮かび上がらせるため
のイコライジングを行っています。

具体的には、例えばベースやドラムス
のような音楽の土台となるような音は、
立体的であっても音像の比較的奥の方
にしっかりと定位してほしいわけです。
けれども、ボーカルやサックス、ギタ
ーなどのソロ楽器は、舞台のせりまで
踏みだし目の前でパフォーマンスを魅
せてほしいわけです。ウインドチャイ
ムやシェーカーなどの鳴り物は奏者の
意図通り空間に浮かび上がって自由に
動いてほしいし、突然空中に浮かび上
がるサウンドエフェクトにドキッとさ
せられる瞬間も、音楽をますます楽し
く感動的なものにしてくれます。

これを再現したい。
あの頃系メルセデスの車内で再現した
い。

機材があって音ができあがったのでは
なく、実現したい音楽空間のイメージ
があってそれを実現できる機材を選ん
だ、という順序は、いつも通りですが、
わたしにとってとても大切なことです。
書いているうちに書き上がったのでは
なく、書いて伝えたい強烈な何かに触
発されて、それを1ミリでも相手の胸
に近く迫らせるために言葉を紡ぐ、と
いう本業のプロセスに、極めてよく似
ています。



もう少し具体的に。



このグラフは、試聴車(W124セダ
ン)のリアスピーカーキットにセット
したイコライジングのカーブです。数
値は公表したくないので、カーブのイ
メージだけですが、いくつかのポイン
トを置きながら、中音域より上がより
大きく出力されていることがわかると
思います。



一方、同じクルマのフロントです。こ
ちらは、純粋にスピーカーシステム・
シリーズ3を使った最高の音づくりを
追いかけたセッティングです。

フロントとリアでエンクロージャーの
容量など仕様が異なるので純粋に比較
はできないのですが、フロントとリア
を関係させることで、手前にせり出し
てきてほしいと思う音域を、より強く
リアに引っ張らせているわけです。

この作業を単純に前後だけではなく、
左前と右後ろ、右前と左後ろとの関係
や、サブウーファーとの関係、タイム
アライメントとの兼ね合いで念入りに
調整して、最後に各々の関係を調整す
ることで崩れてしまった音質をすべて
のスピーカーを鳴らして補正して仕上
げます。

サウンドアナライザーなどの測定機材
は使わないので、すべて聴感だけで仕
上げてゆきます。けっこう疲れる作業
ですし、体調がすぐれないときは仕上
がりが妙なことになるのでできません。
あまり長時間の連続作業も無理です。

試聴会で聴いていただいたW124は、
こんな感じでセットアップしました。

その作業を可能にしてくれて、しかも
済んだ音質の高出力パワーアンプまで
備わっていて、たった10万円程度な
んて、あり得ないほど安いと思います。
日本製には、残念ながらそのような機
材は1つもありません。やる気ないで
す、日本のオーディオメーカー。

わたしがいま、オーディソン製のこの
機材をお勧めしている理由がおわかり
いただけましたでしょうか。

この他にも、通常に設定に加えて微調
整ができるタイムアライメントは、単
に音像を構築するだけでなくそれぞれ
のスピーカーの位相合わせとしても有
用ですし(調整をしていると、音がス
ッと浮かび上がるポイントがあります)、
サブウーファーのベースブーストポイ
ントが通常のイコライザーの他に1ポ
イント設定できたり(イコライザーと
の組み合わせで、かなり凝ったサブウ
ーファーの設定ができます。サブウー
ファーの音づくりが難しいS124で
特に効果的です)、純正ヘッドユニッ
ト等の既存ユニットに仕込まれた変更
できないイコライジングカーブをDS
P処理前の段階でフラットに修正して
くれる機能があったり(古いクルマで
は声が聞き取りやすいように中音域ブ
ーストになっていたり、新しいクルマ
では高低域強調のいわゆるドンシャリ
のイコライジングが固定で設定されて
いる純正ヘッドユニットは、けっこう
多いです)と、音づくりに役立つ機能
が組み込まれています。

もっとも、セッティングが上手に出来
ないと、まったく使いものになりませ
ん。しかもセッティング、すごく難し
いです。たぶん、サクサク使いこなせ
る人は少ないと思います。

W124やS124等々、セッティン
グデータをプリインストールしてから
でないとお届けできないと考えている
のは、そういう理由からです。


もう1つだけ、おまけ。


このグラフは、シリーズ3のフロント
に、純正リアスピーカーを組み合わせ
たときの、リアスピーカー用のイコラ
イザーカーブです。

中低音域をがっつりあきらめたセッテ
ィングだということが、一目瞭然です。
純正リアスピーカーでこのあたりを欲
張ると、少しボリュームをあげるだけ
で、あっという間に破綻します。バサ
バサし始めて聞いていられません。耳
に付きやすい音域をグィッと持ち上げ
てつじつまを合わせていますが、車内
を満たす音楽は、全体的に薄くならざ
るを得ません。

これまで、フロントにせっかくスピー
カーシステムを装着したのだから、リ
アスピーカーを鳴らさないで聴いてく
ださいとお願いしてきた、これが理由
です。視覚化するとよくわかりますね。

フロント用にシリーズ3が完成した段
階で、リアスピーカーも創ろうと考え
たのは、シリーズ3に相当な自信が持
てたからです。そして、その持ち味を
めいっぱい引き出すためには、リアス
ピーカーにも同等のポテンシャルを持
たせる必要があるだろうことは、すぐ
に想像がつきました。その想像が正し
く、ほらやっぱりね、ということを端
的に示してくれるカーブです。


W124スピーカーシステム・シリー
ズ3、テスト中の写真。



W124リアスピーカーキット
(試作機)


★試聴会で使用した機材について、その1。
『W124スピーカーシステム シリーズ3』
   



★試聴会で使用した機材について、その2。
『W124リアスピーカーキット』



★試聴会で使用した機材について、その4。
『JBL製サブウーファー BASSPRO HUB』



★試聴会で使用した機材について、その5。
『Ne Player APP』




【yamaguchiスピーカーシステム】




山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
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