山形は芋煮会の季節です。
9月から10月にかけて、馬見ケ崎川の広い河原は芋煮会のグループで埋め尽くされます。
ところで、山形で芋煮に使われる里芋には「悪戸(あくど、あぐど)芋」と「土垂(どだれ)芋」の2種類があるのをご存知ですか?
一般に多く出回っているさといもは「土垂芋」と言われる系統です。
「悪戸芋」は山形市悪戸地区に何百年も伝わってきた里芋で、希少性があります。
(しかし「あくど」も「どだれ」もネーミングとしては最悪ですね。)
「悪戸芋」は「土垂芋」と比べると、丸形で色が白い。食べてみると柔らかくて粘りが強く、もちもちしています。煮たものを左右に引っ張ってみると糸を引くように裂けて行きます。絹のようにきめこまかい肉質です。また煮崩れせず、煮汁が中まで染み込みやすいという特徴があります。
芋煮には絶対に悪土芋が美味しいのですが、栽培が難しいのと、何より収穫時期が10月から11月と遅く、「芋煮会」シーズンに間に合わない弱点があります。そのため栽培量が少ない状況が続きました。(種芋も門外不出とされてきました。)
しかし、悪土芋の食味の良さが見直され、需要が徐々に増加しているとのことです。近年は通販でも買えるようになりました(ただし販売量は少ない)。
「悪土」という強烈なネーミングは 栽培されている土地の名前から付けられました。
(決して悪人がすんでいる土地ではありません。)
その地名は、アイヌ語の「アクツ」=「川沿いの低い土地」から来たようです。その名の通り近くには須川が流れ、砂地になっています。また朝靄がたちやすく 水蒸気がしっとりと葉を包みこむのだそうです。