長い 

 

長い

 

船旅を終え

 

 

一人の男が

 

大きな荷物と

 

売れ残った

 

テント用の布をもって

 

真昼の

 

サンフランシスコの街に

 

足を引きずりながら

 

ユラユラと

 

歩いている。

 

 

 

男は

 

テント用の布を

 

なんとかして

 

お金に

 

替えたいと思っていた。

 

 

 

そんな時

 

 

炭鉱労働者が、

 

男に近づき

 

 

疲れ果てた

 

男に

 

ひとこと♪

 

 

”ズボンはあるかね。”

 

 

たずねてきた。

 

 

 

みなさんが、

 

もし、

 

その

 

疲れ果てた男だったら

 

どう答えますか?

 

 

 

おそらく

 

こんな感じ。

 

 

”はぁ?

 

あんた

 

目は見えてんのか?

 

俺が持っているのは、

 

テント用の布だ。

 

これが

 

ズボンに見えるか?

 

ズボンなんか売っていないよ。”

 

 

 

 

 

 

 

売れ残った布をもって、

 

よろよろと

 

歩いていた

 

男は

 

ちがった。

 

 

”ズボンはあるかね?”という、

 

とんでもない質問に対し、

 

男は、

 

持っていた布で、

 

ズボンをつくってしまうのだった。

 

 

 

その男とは、

 

 

そう、

 

世界中の

 

人々が

 

よく

 

知っている

 

 

リーバイ・ストラウスさん♪

 

 

 

 

この

 

会社の

 

創業者♪

 

 

 

リーバイ・ストラウスさんは、

 

アメリカ西海岸のゴールドラッシュで、

 

一番、

 

儲けた男と言われている。

 

 

 

 

ゴールドに

 

群がった人々の

 

じつに

 

95%以上の人々が

 

最終的に

 

経済的に

 

破綻したと言われているなか、

 

リーバイ・ストラウスさんは、

 

ゴールドを掘りに来たプレイヤーではなく、

 

ゴールドを掘りに来た人々に、

 

ズボンを供給するサプライヤーとして

 

大成功する。

 

 

 

彼は、

 

金鉱で働く

 

作業者が

 

立ったり、

 

座ったりを繰り返し

 

ズボンが

 

すぐに

 

ボロボロになり

 

すり切れる様子を見て、

 

生地を分厚くして

 

頑丈なズボンを作った。

 

そして

 

害虫が多く

 

すぐに

 

ズボンが

 

虫食いになるのを防ぐために

 

インディゴ染料を使って

 

害虫からズボンを守った。

 

 

のちに

 

インディゴブルーの

 

ジーンズは、

 

リーバイスの象徴となる。

 

 

 

 

リーバイ・ストラウスのつくる

 

ズボンは、

 

金鉱労働者たちから

 

”俺のズボン”

 

として

 

深く愛される。

 

 

 

じつは

 

世紀の大発明となる

 

ヒントは

 

数多く

 

平等に

 

すべての

 

人々の前を

 

毎日

 

通過している。

 

 

 

しかし

 

大半の人々は

 

大発明のヒントが

 

目の前にやってきても

 

目の前を通り過ぎても

 

まったく

 

気づくことは

 

ない。

 

 

そして

 

日々

 

当たらない宝くじを

 

買い続けている。