広島市内でナイター観戦した翌日、少し足を延ばして由宇にカープのファームの試合を観戦しに行ってきました。




いやー、何度か来たことのある由宇ですが、本日はお盆ということもありいつも以上にお客さんが多いですね。恐らく私たちのようにナイター観戦して本日由宇に足を運んでいる人(その逆で由宇でファーム観戦して、夜マツダスタジアムなんて強者)もいるんでしょうね。

さて、そんな本日のファーム観戦。本日の対戦相手は、今年よりファームに新規参入した、くふうハヤテベンチャーズ静岡(以下、ハヤテ)戦となります。ハヤテは昨年11月のオーナー会議でのファームリーグ拡大構想の一環として今年度より、オイシックス新潟アルビレックス(以下、オイシックス)と共にNPBに新規参入となった振興球団です(ハヤテはウエスタン、オイシックスはイースタン所属)。

今季どこかの機会で今年ハヤテの試合を一度観戦してみたいと考えていた私、今回たまたま由宇で行われるカープ二軍戦(VSハヤテ)とスケジュールが合い、由宇でハヤテ戦を観戦することができました。

さて、そんなハヤテ戦、試合はカープ遠藤投手、ハヤテ西濱投手でスタート。




カープのスタメンに目を移すと、何と1番に松山選手が...


2番には羽月選手もスタメンに名を連ねていました。

二人とも現在一軍帯同中ですが、実戦の機会を求めてファームの試合に出場しているみたいですね。真っ昼間に行われる由宇での真夏のデーゲームに出場し、その後は広島に移動しての一軍のナイトゲームに合流するわけで、ほんと頭が下がります。でもそれだけ二人とも必死ってことなんでしょう。

また3番には田村選手の姿も...


今季開幕前は期待のホープとして侍JAPANにも選出されるなど、話題沸騰だった田村選手。しかし、開幕スタメンも、その後なかなか結果が出ず、現在はファームで調整を続けています。

ファームに降格直後は、バッティングの調子がなかなか上がってこなかったようですが、最近はファームで絶好調とのこと。春先の打撃のつまづきは本人にとって苦い経験かもしれないですが、彼は今もファームでひたむきに努力しています。本日の試合、そんな田村選手から、ライトに豪快な本塁打も飛び出しました。8,9月のシーズン佳境で、一軍昇格なんてことも十分あるかもしれないですよ。

さて試合の方は、遠藤投手、高橋昴也投手、増田投手とつないだカープが、羽月選手のタイムリーが決勝点となり、2-1で勝利しました。

今回、はじめて見たハヤテ戦、基本的には知らない選手ばかりなのですが、中には元NPBの選手たちも。

この試合先発の西濱投手は、元オリックスの育成選手であり、スタメンの西川選手は元ロッテの選手。本日の試合、西濱投手なんかは結構な力強いボールを投げており、今季ハヤテのローテーション投手を担っている片鱗は確かに伺い知ることができました。

他にもハヤテにはNPB上がりの選手たちが数人在籍しています。しかし、やはりこの時期になるとスタメンで出る元NPB選手はかなり少なくなるのかなと...。

というのも、ハヤテとオイシックスの元NPB選手は他の12球団にドラフトを待たずにトレードで移籍することが可能というルールが設けられているのですが、トレード期限となっていた7月末までに実際にトレードで移籍することができた選手はなし。現実的にここで一線を引く選手もきっと多いんだろうなというのは、容易に理解できます。

それだけNPB復帰までの道のりは厳しいってことなんでしょうね。トレードの芽がなくなった時点で一旦他のトライアウト組に出場機会を譲る、そんな選手たちに秋のドラフト指名に向け、アピールの機会を数多く提供していこうという、ハヤテの選手起用の姿勢は十分理解できます。

そもそもハヤテと、もう一つの振興球団、オイシックスの大きな目的は、勝利を求めつつも、他のNPB12球団への選手輩出ですからね。そこが他のファーム球団とは目的が大きく異なる部分。しかも、両球団は選手を育成しつつも、地域密着を掲げ、球団も経営していかなければならないわけで...。

ハヤテのホームは静岡の清水市をホームタウンとしています。監督は静岡ゆかりの首脳陣で構成されており、監督はかつて近鉄でクローザーとして活躍した赤堀元之監督(静岡県藤枝市出身・静岡高校)、GMは大洋などで野手として活躍され、監督も務められた山下大輔(静岡県清水市出身・清水東高校)氏、打撃アドバイザーにはコーチとしての手腕の高い、カープともゆかりのある内田順三氏(静岡県三島市出身)が務めています。

オイシックスについては、元々BCリーグに所属していたチームを母体としてチームを構成している一方、ハヤテは母体なし。まさに選手集めからのスタート。選手もトライアウトで獲得した選手で構成されています。

メンバーにはハヤテ、オイシックス共に、NPB経験者20名程が在籍しており、ハヤテには福田選手(元ホークス・マリーンズ)、田中健二郎選手(元ベイスターズ)、倉本選手(元ベイスターズ)、藤岡選手(元ホークス・ファイターズ・ベイスターズ)などもそのメンバーに名を連ねています(福田選手は、先日のトレード期限である7月末をもって、今季限りでの現役引退を宣言しています)。

この他、両チームにはそうしたNPB経験者のみならず、独立リーグ経験者、クラブチーム経験者の選手も多数在籍しています。早川太貴選手などは、元公務員でありながらもクラブチームでプレーしていた選手であり、竹内奎人選手なんか医学部所属の準硬式あがり。そんな多種多様な選手たちで構成されるチームこそが、ハヤテとオイシックスという新規参入球団なわけです。

果たしてハヤテ、オイシックスから今年NPB選手は生まれるのか、そこが今季新規参入した両球団の一番の注目点。そういう面では、明るい材料も出てきているのは確か。

例えば先ほどの元公務員の早川選手、独立リーグの徳島インディゴソックス出身の増田選手(お兄さんはジャイアンツの増田大輝選手)は、夏に姫路市で開催されたフレッシュオールスターに選出されました。またその他にもファームの中で確実に結果を残している選手も出てきています。

ただ一方で厳しい現実はやはりあり、実際にハヤテ、オイシックスから元NPB選手で、7月末までのトレードでNPBに移籍した選手はゼロだったところを見ると、他球団の元NPB選手への評価は非常に厳しいものがあるのも事実。

また今の野球界には全国に独立リーグができ、チーム数も過去に比べ増加しています。その中でこれら独立リーグの球団と、新規参入球団の違いは果たしてどこにあるのか、その辺のすみ分けが曖昧であるのも少し残念なところかなと。

新規参入球団を、何年かファームに参入させながらも、その間に選手の育成&戦力補強を図り、将来的に球団の本格的な拡張(エクスパンション)までつなげていく将来像があるのであればそれはそれで理解できるのですが…。ただ今回はそうした構想はなく、そういう意味では今回の新規参入2球団、この辺のビジョンの曖昧さは否めません。

経営的に苦しい中で(一般の独立リーグよりも試合数が多く、移動の交通費もかかる。そのため球団経費は独立リーグの1、2億よりもかかる5、6億と言われている中で)、ビジネスモデルは独立リーグ並み、それでいて試合のレベルはNPBレベルという難題が突きつけられるわけですからね…。そうした中でも、あえてファームに参入する意味はどこにあるのか?(独立リーグではなぜいけないのか?ファームとの交流試合ではダメなのか?)、その辺のビジョンについて、NPBにはもう少しはっきりとしたビジョンを示して欲しいなと思うのは私だけでしょうか...?

ただ今回の球団増にも球団参入は、12球団制となった1958年以来66年ぶりの出来事、そうした歴史に風穴を開けた今回、くふうハヤテと、オイシックスの挑戦には素直に敬意を表したいとも思います。事実スポンサーも増えているらしいですからね。地元の球団として官民一体となりサポートしようしていこうという地元の熱も伝わってきます。

今後新規参入2球団がどのようにNPBに新しい風を吹き込んでいくのか、一野球ファンとして引き続き見守っていきたいなと思いますね。

しかし、この真夏の炎天下のファームゲームに詰めかけるカープファンはやはり強者です。こういうファンに支えられながら、この由宇の地から若鯉が育っていくんだと、改めて実感させられました。

まだ由宇に行ったことのないカープファンの皆さんにはぜひ一度足を運んでみて欲しいですね。きっとカープがもっと好きになると思いますよ。