本日センバツ高校野球の決勝戦を観戦しに甲子園球場に行ってきました。


決勝のカードは...



健大高崎と報徳学園の対決となりました。健大高崎は春夏通じて初めての決勝進出。群馬県勢としてのセンバツ決勝は、1955年の桐生高校以来となる69年ぶりで、県勢としてセンバツ初優勝を目指します。


対する報徳学園は昨年に引き続き2年連続のセンバツの決勝(昨年は山梨学院に3-7と敗れての準優勝)、選抜史上3元号制覇が懸かる決勝の舞台となります。


健大高崎はここまで佐藤くん、石垣くんという二人のスーパー2年生の活躍と、4番箱山くんを中心とした力強い打撃でここまで勝ち上がってきました。報徳学園も昨年からチームの主力投手である今朝丸くん、間木くんが健在。準々決勝では近畿大会で敗れた王者大阪桐蔭にもしっかりリベンジしての勝ち上がりなだけに、面白い決勝になりそうです。


今大会、寒い日も続きましたが、本日の週末は春の陽気に誘われ気持ちのよい甲子園、地元報徳学園の試合ということもあり、甲子園はたくさんの観客で賑わっていました。





そんな中で始まった決勝戦は、健大高崎は準決勝も先発した石垣くん、報徳学園は今朝丸くん両先発の投げ合いで始まりました。


報徳学園のファンファーレで攻撃開始





試合は初回から動きます。報徳学園は、健大高崎の先発石垣くんの立ち上がりを攻め、安打と四球で掴んだ二死一、二塁のチャンスから、5番安井くんがライトへタイムリーツーベースを放ち2点を先制します。


しかし、その裏健大高崎も今朝丸くんを攻め、同じく、安打と四球で掴んだチャンスで5番森山くんがタイムリーツーベースを放ちすかさず同点に追いつきます。


初回から点を取り合う展開。試合はこの後どうなるのか...。


そんな中健大高崎は3回に先頭の斎藤くんがスリーベースで出塁し、3番髙山くんのタイムリーで勝ち越しに成功します。


報徳学園も5回の二死満塁、6回には無死一、三塁と同点のチャンスを迎えますが、ここは健大高崎の石垣くんが見事な踏ん張りを見せ、その後は石垣くん、今朝丸くん両投手の好投もあり、試合は3-2健大高崎リードのままあっという間に最終回に突入します。


健大高崎は最終回、ここまで好投を続けていた石垣くんから、佐藤くんにスイッチ。佐藤くんは準々決勝で手の血豆がつぶれてしまい、準決勝、決勝と先発を回避していました。しかし、佐藤くんは今大会21イニング無失点とまさにここまでの甲子園大会で無双の投球を見せています。


そんな佐藤くんに報徳学園は二人が打ち取られ、早くも万事休す。しかし、その後代打貞岡くんが四球で出塁。その貞岡くんの代走西川くんが、スチールを試みこれが見事に成功。


球場の報徳学園側の応援席は一打同点の場面に大いに盛り上がり、爆音のアゲアゲホイホイで選手を後押しします。



しかし、打者橋本くんが、佐藤くんに最後空振り三振に打ち取られ、ゲームセット。


この瞬間、健大高崎の初優勝が決定しました。


佐藤くんを中心にマウンドにできる歓喜の輪、いやー面白い決勝戦でした。


健大高崎の佐藤くん、石垣くんという力のある投手を擁し、打撃も力強かったです。健大高崎と言えば、これまで「起動破壊」と言われた起動力を生かした野球のイメージが強かったですが、今大会の健大高崎は起動力に加えて、さらにそこから打撃の面でもスケールアップしている印象を受けました。


皆振りが鋭い、今大会飛ばないバットの影響もある中でも打球は速く、今朝丸くんの速球にもしっかり力負けせず打ち返しているあたり、選手全体の能力の高さが伺えます。


そして佐藤くん、石垣くんの2年生コンビも落ち着きを払っており、今後の成長が楽しみですね。


佐藤くんはボーイズ時代にU-15の侍ジャパンに選出される程の逸材。たくさんの強豪校から誘いがあった中で2学年上でもあるお兄さんと同じユニフォームを着ようと健大高崎への進学を決意したそうです。身長は173センチとそれほど高くないのですが、140キロ台のキレのある直球とスライダーで甲子園でもその評判に恥じない素晴らしい投球を大会全体を通して見せてくれました。


そして今大会、石垣くんの活躍も大きかったですね。佐藤くんは高校に入って石垣くんの球の速さに一番驚かされたそうです。「こんな奴がチームメイトにおるんか...」と。その石垣くん、この冬の間に大きな成長を遂げ、長身から投げ下ろす投球は迫力があり、準決勝の星稜戦では今大会最速となる150キロも計測するなど、このセンバツで大きなインパクトを残しました。


佐藤くんの手の豆がつぶれるアクシデント中でも、準決勝、決勝と力強い投球を見せた石垣くん。佐藤くんも高校でこんなに頼もしいチームメイトが近くにいれば、刺激を受けないわけないですよね。この後の夏、そして来年と、二人が切磋琢磨しながらどんな成長を遂げていくのか、高校野球ファンとしては興味深いところですね。


報徳学園も今朝丸くんの投球は素晴らしかったですね。この決勝戦も終盤にこの試合MAXの149キロを計測するなど、チームを鼓舞する投球は見ていてしびれました。私は昨年のセンバツ準決勝の大阪桐蔭戦を現地で観戦しているのですが、エースナンバーを背負う間木くんとお互い切磋琢磨する中で、今朝丸くんも昨年から本当に成長しているなと、スタンドから見ていて感じ取ることができました。


チームとしても最終回の二死からの盗塁は勝利への執念を感じさせるものがありました。5,6回のチャンスを生かせなかったのが悔やまれますが、全体として本当にバランスの良いチームだなと。特に二遊間を中心に守備力は今大会一ではないかといった印象です。この決勝でもショートの橋本くんが素晴らしいプレイを何度も見せるなど、そのレベルの高さを見せてくれました(報徳学園は強豪校には珍しく野球部専用のグラウンドを持たず、グラウンドはサッカー部やラグビー部との共用。その中でのこの鍛えられた守備力にはほんと感心させられます)。今回敗れた悔しさを夏にどうつなげられるかに注目ですね。


全般的な感想で言えば、今大会はやはり飛ばないバットに尽きると思います。大会最初の3本の本塁打数がそれを象徴しており、新基準へのバットへの適応はまだどの高校も苦心している印象を受けました。こうした新基準バットへの適応力が、夏の大会でどこまで向上されていくかも今後の見どころだと思いますね。


そして何より少失点でのゲームが増えた印象を受けました。これにより最後まで競り合う試合も増え、守備や走塁など、細かい野球がより重要となっていくるであろう大会前のイメージはやはりその通りでした。あの大阪桐蔭でさえ、大会の柵越え本数は0本ですからね。これまでの大会では信じられないですよね。投手も速球をインコース、アウトコースにきっちり投げ込めば、力で外野オーバーやスタンドにもっていかれることも少なくなっただけに、夏の大会もどこが勝ち上がってくるか分からない、そんな印象も抱かせてくれる大会でした。


今年は甲子園球場が出来て100年の節目の年、そして年々変化を遂げていく高校野球。夏の大会でまた球児たちがどのような成長した姿を我々高校野球ファンに見せてくれるのか楽しみです。


初優勝を成し遂げた健大高崎のナインの皆さん

優勝おめでとう!夏また待ってるぞ!!

そして、他の高校も負けるな!!