本日の大会7日目のセンバツ、午後から時間休を取得し、創志学園の二回戦を観戦してきました。




週末土日は2日続けて雨天中止となっていた甲子園。25日(大会6日目)はゲームを何とか開催できたものの、その翌日となった今日はまたしても朝から雨が降り注ぐ悪天候。しかし、午後からは何とか天気は持ち直すという予報であったため、大会本部は急遽大会7日目に予定されていた3試合を2試合に組み替えて、午後から試合を実施する運びとなりました。


そんな創志学園の二回戦の対戦相手は昨春のセンバツを制した山梨学院大付属高校(以下、山梨学院)です。



今年の創志学園が強豪相手にどんなゲームを見せてくれるのか楽しみです。


私も時間休で球場にかけつけましたが、球場に入ると本当に昼前まで雨が降っていたのかと思わせる程の綺麗なグラウンドが拡がっていました。



いやー、さすが神整備として名高い阪神園芸の整備技術。素晴らしい。でも相変わらず風は強くて寒いですね...。これは観る方も寒さとの戦いになりそうだ...。


しかし、そんな中でも本日も創志学園のアルプスにはたくさんの応援団が地元岡山からかけつけていました。



皆さん本来なら日曜開催だったのに、日程調整もいろいろと大変だったでしょうに。本当に頭が下がりますね。


そんな創志学園と山梨学院の一戦ですが、この試合創志学園の門馬監督は、何と公式戦初先発となる2年生の左腕、明星くんを先発にもってくる奇襲をしかけてきました。



よほど昨秋から春ににかけ、大きく成長した選手なんでしょうね。この試合、門馬監督のアグレッシブな選手起用がどうゲームを作用するのでしょうか。


試合はそんな明星くんと、同じく2年生で一回戦の京都外大西戦でも先発し、好投した山梨学院、左腕島津くんの両先発で始まりました。


明星くんは、初回を無失点に抑える好調な出だし、カーブやスライダーを交えながら落ち着いた立ち上がりのように見受けられました。しかし、そこは昨春の王者山梨学院、2回、3回と明星くんの甘い球を見逃さずタイムリーなどで3得点と、公式戦初登板となった明星くんを3回途中で引きずり下ろすことに成功します。


その明星くんの後を受けたのは中野くん。しかし、山梨学院はその中野くんにもタイムリーを浴びせ、創志学園は序盤から4点ビハインドの厳しい展開となってしまいます。


追いかけたい創志学園ですが、山梨学院の島津くんの緩いカーブに翻弄され、本来の打撃をさせてもらえません。


序盤、中盤とこの島津くんのカーブと直球のコンビネーションに翻弄され続ける創志学園打線。4回は初めてノーアウトから安打で出塁させますが、その後の後続打者がポップフライを打ち上げてしまいランナーを進められないなど、一回戦はうまくいったつなぐ野球がこの試合はなかなか機能しません。また6回には二塁まで進んだランナーがレフトライナーで飛び出してダブルプレーとなってしまうなど(抜けたと思って飛び出した?でも抜けたのを確認してからでも悠々ホームに帰ってこられることを考えるとアウトカウントを間違えた?実際はよく分かりませんが)、少しチグハグは攻撃が続いてしまいます。


対する山梨学院は先手先手で、6回途中からは好投の島津くんから、エースの桜田くんにスイッチし、試合のペースを手放しません。そしてあれよあれよと試合は最終回へ。


最終回も先頭打者がこの試合初めての連打でチャンスを広げるも得点には結びつかず、結局そのまま試合は0-4のままゲームセット。


何か得点以上に力の差を見せつけられる試合展開となってしまいました。この試合に関して言えば門馬監督の掲げるアグレッシブ・ベースボールは全く機能しませんでした。うーん、残念。いや、むしろそれを機能させなかった山梨学院の島津くんはじめとした山梨学院投手陣を褒めるべきなんでしょうが...。


今年の山梨学院は、旧チームのエース林くん(現明治大)のような絶対的エースはいない中でも、島津くん、桜田くんと安定した投手を揃えてくるあたりさすがだなと思いました。それに昨年からの主力はほとんどいないと言われながらも、皆振りが鋭い、飛ばないバットでもしっかり真芯でとらえての強く速い打球が目につきました。史上4校目の春連覇に向け、準々決勝の健大高崎戦も難敵ですが、きっと面白い試合になるんじゃないでしょうか。


この試合は戦前門馬監督と同じ年で、門馬監督と同じくセンバツでの優勝経験のある山梨学院、吉田洸二監督との同学年対決が注目を集めました。吉田監督も長崎清峰高校監督時に2009年センバツ、元カープの今村猛さんを擁し県勢初優勝を果たし、その後は生まれ故郷を離れ、出身大学でもある山梨学院大学の付属高校の野球部外部監督に就任しました。


その吉田監督、就任当初は地元から離れて監督(職業監督)をやるその難しさ(清峰高校時代は教師として勤務しており、生徒との距離感や一体感を作りやすい雰囲気があったが、外部監督ではそれが難しい。また勝たなければならないプレッシャーと、その中で思い通りにいかないジレンマ)に大変悩んだと吉田監督は雑誌の特集で話されているのを目にしました。


実際吉田監督の就任後、山梨学院は県で4連覇を果たしながら、甲子園では二回戦が最高成績であり、甲子園では満足な成績を挙げることができませんでした。そんな吉田監督に対して、山梨県では山梨学院が出ても甲子園で勝てないなど、いろいろと陰口を言われる部分もあったそうです。


しかし、その後吉田監督の息子さんが父親である吉田監督の後を追い(息子さんも清峰高校出身、その後教員免許を取る傍ら、父親の近くで野球を学びたいと山梨学院大学に進学)、山梨学院付属高校のコーチに就任したことがひとつの転機となったそうです。周囲によき理解者を得て、気持ちに余裕も生まれ始めたのか、ある時吉田監督はふと気付かれたそうです。自分が勝ちたい勝ちたいと、知らず知らずのうちに選手にプレッシャーを与えたていたのかもしれない。むしろ選手を勇気づけ、気持ちを乗らせることに徹しようと...。そう考え方を変えたことで不思議とチームはうまくいくようになり、そうした無欲の勝利を重ねた結果が昨春センバツ制覇につながったと吉田監督は話されていました。


このエピソード、今の門馬監督と重なるように感じるのは私だけでしょうか?門馬監督も慣れ親しんだ東海大相模を離れ、縁もゆかりもない岡山創志学園の野球部監督に就任。外部招聘の監督だけに結果を出さないといけないというプレッシャーもきっと相当だろうと思います。それに加え岡山という、どちらかというと外部からの人に閉鎖的と言われることも多い岡山県人特有の県民性もありますからね(この部分に関して言えば、山梨以上かもしれません(苦笑))。最初は物珍しさもあり好意的に見てくれる部分もあるでしょうが、結果を出せないとなるとまた何を言われるか分からないですからね...。


その点で言えば、今日の試合少し気になる部分がありました。それはうまく選手が采配に応えられない場面などで、監督自身が空を見上げてがっかりしているように見て取れる場面があったこと。私が何も偉そうに言えることではないですし、門馬監督自身そんなつもりはないんでしょうが、東海大相模というエリート中のエリートが集まる中でできてたことが、創志学園の選手たちはすぐにできない。その神奈川と岡山の野球レベルのギャップに戸惑っている部分もあるんじゃないかと、私は少し思ってしまいました。


そうした監督自身の表情が選手たちに伝播して、逆に選手たちの動きを固くしてしまっていた部分はなかったでしょうか。もちろん選手たち自身にも技術不足の問題があることはもあることは間違いないと思うのてすが、もっとこうどっしりと構えながら(東海大相模ではできなかった新しいことにもチャレンジしながら)、岡山という見知らぬ土地での挑戦を楽しんで欲しいなと、そう思ったりなんかするわけです。


そういう意味では同じ年でありながらも、職業監督としては先輩となる吉田監督の考えや経験、失敗談は門馬監督にとってもいろいろとよい教材になる部分があるんじゃないでしょうかね。そうした想いは試合後の門馬監督のコメント「山梨学院の選手は監督の意図していることをさりげなく当たり前にやっていた」からも見て取ることができたように思います。悔しい気持ちの中にも、しっかり現状の課題をとらえ、次の夏を見据えているあたりさすがだなと思いましたね。


近年甲子園で低迷する岡山の高校野球界に新風を吹き込んでもらう意味で、門馬監督が岡山に来てくれたことを私自身、岡山出身の高校野球ファンとしては大変嬉しく思っています。それは他の県民も同じだと私は信じたいです。


すぐ甲子園で結果が出ないからといって、岡山の人も門馬監督に対してあーだこーだ言いませんよ。むしろこのセンバツで敗れた経験を夏にどう生かして、どうチームをレベルアップさせてくるのか、夏の創志学園にぜひとも注目したいと思います。


センバツは明日で準々決勝が出揃います。いよいよ大会も佳境ですね。日程的に準決勝、決勝は土日、どちらか観に行けたらと思ってます。



PS.

創志学園のブラスバンド、その中でもこのキン肉マンが私はお気に入りです。