先週2日の「英雄たちの選択」の録画を視ました。今回取り上げられたのは、大正から昭和にかけて広告業界の第一人者として活躍し、後の広告のモデルを作ったと言われる片岡敏郎でした。

正直番組を視るまでどんな人なのかよく知りませんでしたが、あのNHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」でも出てきた鴨居商店のワインポスターをデザインした人とは知りませんでした。

その片岡の斬新なアイデアに目をつけたサントリーの創業者でもある鳥井信次郎は、片岡をヘッドハンティング。ちなみに鳥井は、ドラマでは堤真一が演じていました。

広告はジャーナリズムと表し、イベントクリエイターとして様々なインパクトを社会に与えていった片岡。考え方の背景には、「分からせることが全てじゃない、サムシングが残ればそれでいい」という概念がありました。要は消費者の想像をかきたてる手法ですね。

その証拠に片岡のデザインしたポスターや広告には商品の値段が表示されていません。片岡は商品の背後にあるイメージを大事にしていたみたいです。

それに広告のキャッチコピーが庶民的。関東大震災、金融恐慌等で日本全体に元気がないときには、「不景気か?不景気だ!赤玉ポートワイン飲んでるかい?そうだろう。」といったように、ユーモアのある話し言葉の広告を掲載。庶民を元気付けました。

ただ片岡が一方で気を付けていたのは、「本当のことを言わないとだめ」だということ。よい賞品ならともかく、粗悪な商品を広告の力のみでよい商品に見せかけることは、逆に広告は諸刃の剣であり、賞品の寿命を縮ませることにもなると言っていました。

なるほどなぁと思いました。今の世の中は商品がたくさん出回り、広告費用にたくさん投資できる大企業が有利。イメージのみが先行し、本当の意味でその商品がよいものなのかを見極めることが、なかなか難しくなってきています。

ともすれば、「あっ、CMでやっていたやつだ」と商品に手を伸ばすも、それが本当によいものかどうかは、ぱっとみ分かりにくい。使ってたいしたことなければ、期待した分、がっかり感も大きいわけで...。おそらくそう感じた商品は、もう二度と手に取ることはないかもしれません。そういう意味では片岡の考え方には共感できます。

今回の英雄たちの選択を視て、改めて広告の重要性に気づかされると同時に、今の世の中での広告の有りようについて考えさせられました。

今回は広告デザイナーということで、何か磯田先生も芸術性に富んでましたね。番組構成もいつもとは一風変わってて、新鮮でなかなか面白かったです。