外周3キロの大きな公園の中につくられた、森の中の道を散歩するのが好きだ。
頬に当たる冷たさや、足の裏を移動する地面を感じる。
散歩の途中、僕たちは、いつも大切なものを見失っているのではないだろうか、という考えが起こった。
僕たちが、見失いそうになっているもの、見失っているもの、それが、いつも目の前にある世界だ。
それを見るのは難しい。
それを、純粋に見るのは難しい、という意味だ。
過去に学習した観念でできた色メガネをかけたままだから。
メガネユーザーの人が、自分のメガネを探していたら、掛けていた、という笑い話を聞いたことがあるが、この逆だ。
僕たちは、過去に学習した観念の色メガネをかけて世界を見ながら、自分が色メガネをかけて世界を見ていることを知らないのだ。
そうやって、色つきのヘンテコ世界を見ながら、それを正しいと信じているのだ。