自動車を運転していた | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 二人の生徒達が下校途中に歩きながら話し合っていた。 


  「このところ、僕は昔の人が書いた小説を読んでいるのだけど、人間が自動車を運転していた時代があったのだね。自動車だけではなく、船や航空機も人間が手足で操作して動かしていたらしい。つまり、運転者は目的地までの地理にも精通してなければならなかったわけだね」


  「ああ。そうらしいね。自動車の運転は難しい技術だったのかな?」 


  「難易度は車種によって違っていたのかもしれない。でも、少なくとも小説の登場人物はほとんど何の苦労もなく、自動車を運転して目的地に到着していたよ」 


  「昔の人々はどのような感覚で乗り物の運転をしていたのだろう?ちょっと、想像が着かないよね」 


  「身体が乗り物と一体化しているかのような感覚があったのかもしれない」 


  「でも、自動車の構造や大きさは人体とはかなり違っているよね」 


  「そうだね。そもそも生物は自動車を運転するように進化してきたわけではないはずだ。だから、人類が自動車を運転していたという描写は不自然だよね。どうも信じ難いような気がするよ」