月に落書き | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 夜の公園で二人の少年が空を見上げていた。

 「今夜は月がすっきりと見えるね。表面の岩や砂まで見えるような気がするよ」

 「月には岩や砂があるだけで他には何もないよね。海もないし、森もないのだね」

 「それどころか、空気もないらしいよ。だから、風も吹かないよ。もし月の地面に落書きをしたなら誰かが消すまで残っているよ」

 「そうか。この惑星の文字はすぐに消えるけど、月の文字は消えないのか。それなら、僕は宇宙飛行士になるよ。そして、いつか月の地面にたくさんの文字を書くよ。将来の夢が決まったよ」

 「月に何を書くの?」

 「この人生で知り合った人達全員の名前だとか、大きな宇宙船の絵だとか、月に来てみた感想だとか、宇宙人への伝言だとか、色々と書いても余白はまだまだたくさんあるはずだよ。だから、何でも書くよ」


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青空の下に白色はない

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