大きな鴉の夢 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 夢の中で私は公園のベンチに座っていた。すぐ近くの地面に一羽の鴉が立っているのだが、その鴉の体格が人間の何倍も大きかった。そのせいで私は自分が夢を見ていると気付いていた。

 大きな鴉が黒い翼を広げた。翼が四枚もあった。まるで昆虫のようだと私は思った。すると、脚が六本あると気が付いた。本当に昆虫のようだと私は思った。鴉だと思っていた生き物の正体は巨大な黒い昆虫だったのだろうかと考えて私は背筋に寒気が走ったように感じた。恐る恐る視線を上げたが、頭部は鴉のままだった。そして、嘴を開けて鴉の声で鳴いた。既に翼は閉じていた。もはや大きいだけの鴉にしか見えなくなっていた。


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