階段のロボット | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 一体のロボットが階段の途中で突っ立っていた。ロボットは故障していた。片方の足が動かなくなり、階段を上っていけなくなっていた。

 ずっと同じ姿勢でロボットは突っ立っていた。上の階に用事があったわけではなかった。理由もなく階段を上り始めたのだった。足が故障しているので途中で上れなくなるだろうとは承知していた。実際、その予測は的中した。

 同じ姿勢で突っ立ったままロボットはなぜ自分が階段を上ろうと決意したのだろうかと考えていた。しかし、どれだけ考えても答えは出なかった。ロボットは自己の状態に異常があると判断せざるを得なくなっていた。正常な状態に戻るまでは一切の行動を停止しておかなければならなかった。ロボットは階段の途中で突っ立ったまま異常の原因について考え続けていた。

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