人類が絶滅した方向 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 おかしな夢を見た。私は地下街の通路のような場所に立っていた。周りには人影がなく、私は人類が絶滅したのだと考えていた。しかし、その理由を思い出せなかった。とにかく歩かなければならないと私は考えていた。ひょっとすると前方には人類が絶滅していない世界があるかもしれないのだった。

 しかし、私は踵を返して人類の絶滅が確定しているはずの方向へと歩き始めた。絶滅の理由を知りたいわけではなかった。人類が絶滅した世界など見たくもなかった。私は自分の行動に当惑したが、足が勝手に動いて歩き続けた。

 すぐに数人の通行人達と擦れ違った。人類が絶滅した方向から歩いてきた人々だった。私は彼等の存在を信じなかった。生きているはずがないのだった。気味が悪いと感じたので私は彼等に対して碌に視線を投げ掛けなかった。それから何人もの通行人達と擦れ違ったが、私は彼等の存在を悉く無視した。人類が絶滅したはずだという考えに固執し続けていた。

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