飛べの小人 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 夜、枕元で誰かが「飛べ。飛べ」と呟いているようだと気が付いた。意識が朦朧としているので私は夢を見ているようだと思った。しかし、寝返りを打っても「飛べ。飛べ」と聞こえてくるので私はさすがに妙だと考えて瞼を開けた。

 寝室は照明が灯っていた。布団の脇に小人が立っていて「飛べ。飛べ」と呟いていた。私と目が合っても小人は表情一つ変えなかった。まるで人形のようだと思ったが、口は動いていた。私はやはり夢を見ているようだと考えたが、そう思っても目は醒めないようだった。

 小人はひたすら「飛べ。飛べ」と呟き続けていた。それを聞いていて私は徐々に気持ちが焦ってきた。飛ばなければならないと思うのだが、人間の身体には翼がないので飛べないのだった。小人の呟きに応えられないので私はなんだか申し訳ないような気持ちになってきた。それと同時に、小人の存在が疎ましくなった。私は寝返りを打ってから瞼を閉じた。


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