武器のような石像 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 暇な時間が出来たので美術館に行ってみた。抽象的な形状の石像ばかりが幾つも展示されていたので私は一つずつの作品の前で歩みを止め、じっくりと時間を掛けながら鑑賞していった。

 表面に鋭い突起が幾つも付いていて攻撃的な印象を受ける形の石像ばかりだった。武器になるかもしれないと思ったが、柄になりそうな箇所がないので使い勝手は悪そうだった。ただ、突起がない部分を両手で抱えて投げ付ければ相手に大きな傷を負わせられそうではあった。薄暗い館内を歩きながら私の作品に対する関心は次第に殺傷力という一点に絞られていっていた。

 ふと、一人の男と目が合った。彼も私と同じ来場者のようだった。私は彼の頭部に鋭い突起がないと確認し、これでは武器として使えそうにないと判断して即座に視線を逸らせた。そして、また石像を一つずつ鑑賞していった。


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