腹の中の美しい石 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 夜、頬に風が当たったので目が醒めた。瞼を開けたが、辺りは真っ暗で何も見えなかった。水が流れる音が聞こえていた。近くに川があるようだった。どうやら屋外のようだと私は思った。

 微睡んでいた意識が徐々にしっかりとしてきた。手を動かすと指に砂が触れた。私は腹部に重みを感じていた。そして、ようやく就寝前の記憶が蘇り、河原で石を食べたのだと思い出した。その石がまだ消化されていないのだった。

 それはとても美しい石だった。見た瞬間に食欲を刺激されたので拾って丸呑みしたのだった。あの美しい石が腹の中にあると思うと私は満ち足りた気分になれた。もはや何も行動する必要はないと思われるのだった。それで、私は再び瞼を下ろした。石が完全に消化されるまでには長大な時間が掛かるはずなので存分に心地良い幸福感に浸っていられそうだと考えていた。

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