トリケラトプスの顔 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 休日の朝、鏡を覗くと自分の顔が恐竜に似ていた。トリケラトプスだと思った。顔面から三本の角が生えていた。私は子供の頃から恐竜が大好きだったので驚喜した。この顔で街を歩けば皆が羨ましがるはずだった。

 親戚の少年が恐竜を好んでいたと思い出したので私は彼に自分の顔面を披露してやろうと考えて電話を掛けた。彼は在宅していた。私がトリケラトプスを見せてやろうと言うと彼は早く来訪するようにとせがんだ。期待して興奮が高まっている様子なので私は嬉しくなった。私の顔は確実に彼を喜ばせるはずなのだった。

 しかし、駅まで歩いていく道中で擦れ違う通行人達が悉く恐竜の顔に似ているので驚かされた。私の身だけに起きた変化ではなかったのだった。特にティラノサウルスを見掛けた時には羨ましくなった。しかし、トリケラトプスも顔面の格好良さでは負けていないはずだと思い直し、親戚宅へと足を急がせた。

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