宇宙船は星空の中を飛行していた。丸窓の外側に見える天体はどれも塵のように細かかった。
惑星を出立してから私は大半の時間を丸窓の近くに置いた椅子に腰掛けたまま過ごしていた。そうして膝の上で寝ている愛猫の背中をずっと撫でていた。猫の心地良さそうな寝顔を眺めていると私も幸せな気持ちになれた。
たまに個室の外に出て一つの街のように巨大な船内を一緒に散歩したり、市場で購入した肉を与えたりといった世話も焼いていたが、私は撫でるという行為に至上の喜びを感じていた。
猫が安眠できるように加減などを色々と工夫していて私はその旅行中に随分と撫で方が上達したと自負していた。実際、私が撫でていると猫はほとんど目覚めなかった。私はいつまででも好きなだけ愛猫を撫でていたいと願っていた。
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