記憶回収車巡回 | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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アメーバブログにて超短編小説を発表しています。
「目次(超短編)」から全作品を読んでいただけます。
短い物語ばかりですので、よろしくお願いします。

 忘れたい記憶。忘れたい記憶はございませんか。お客様に忘れたい記憶がございましたら、当社が一部無料にて引き取らせていただきますので、どうぞ、お気楽にお声をお掛けください。

 「どうやら記憶回収車が来たようですね」

 「そのようですね。この辺りはよく来るのですよ」

 「引き取ってもらう記憶はないのですか?」

 「今のところ、ございません」

 「そうですか。幸運な人生を歩んでおられるのですね」

 「仮に深刻な後悔や恥辱を抱えて苦しんでいたとしても、それを来客中にのこのこと捨てに行けるものではないでしょう?」

 「それはそうかもしれませんね。失礼しました」

 忘れたい記憶。忘れたい記憶はございませんか。お客様に忘れたい記憶がございましたら、当社が一部無料にて引き取らせていただきますので、どうぞ、お気楽にお声をお掛けください。

目次(超短編小説)