人間みな、生きていたら一度は通る道、受験。

わしは学習塾で働いていた経験があるのだが

目の当たりした現実は戦争そのものでした。

わしは小学校受験なるものに携わっていた時期が長いので、それはなんとも精神的にキツかったのである。


まず大前提だがそこの塾に入塾する子供達

言わずとも皆様富裕層である。

その中の2割ほどに一般家庭の子供もいるが

祖父母が資金源であったり、何かで大金を持っていると思われる普通の家族の子供だったりもする。

だいたいがお医者様や弁護士、スポーツ選手の子供が主だと聞いた。

意外と経営者のご子息は少なかったように思う。


その中で入塾するに当たって振り分けテストがある。

わしが勤務していた時期は入塾希望者が殺到しており、受験をする前に入塾する準備が出来ていない生徒さんはやんわりお断りするという意向があった。

しかもそれが2歳に満たない段階から始まっており

わしは2-4歳時が最長で1時間半座りっぱなしで

泣き言も言わず、食い入るように授業を受けている様子に異様な感覚を覚えた。


そして小さいなりにもライバル意識が芽生えるものであり、

そこにいる塾の先生も子供やその保護者に対して

思い切りエコ贔屓を行うので

生徒家族同志のバチバチは相当なものだった。

問題を解けないと涙を流す子供。

鉛筆に八つ当たりして折ってしまう子供。

お漏らししてしまう子供。

やったプリントの不出来を親に言わないで。とプリント持ち帰りを拒否する子供。

でもどの子供も小さいながらに受験する意味を理解しており、行きたくないなどと言う子はおらず

早くに塾にきて1番前の座席を取り合うほどだった。

やはり前の席に座る子供は成績上位者ばかりで

後ろの席に行くほど成績下位になる縮図は

子供の世界でもバッチリ出来上がっていた。


そうなるとママ同士の争いも白熱。

子供に熱を入れるのはもちろん、先生への媚び売りが半端ない。

見ていてゾッとするほどだがこのママ達だって背負ってるものがあるんだろうなあと思う。

パパや祖父母もお迎えにきて先生の解説やアドバイスをメモして帰り、

子供に授業が始まる前に雑談していると

成績上位者のほとんどの生徒が

自宅ではパパに勉強を見てもらい予習復習をしていた。

すごい子供はパパが4時起きなので

支度をして家を出る5時までの間に

その子供も一緒に起床し勉強していると言っていた。

もちろんこの塾意外にも習い事をしている子が多数であり

水泳英会話絵画教室そろばん公文体操フランス語

インターナショナルスクールに通いながらの子供たちもいて

そこらへんのサラリーマンより忙しい生活を送っており

睡魔に襲われては太ももをつねって授業を聞く子もいた。

学校によってはマナーや常識面接もあり

お行儀よく席に座るという指導もあり

あまりに完璧主義者の子供はまるでロボットそのものであった。


そこは先生の入れ替わりが激しく

わしは数年勤務したが一年持たずに

可哀想すぎると言って勤務に向いていない先生も多数いた。

わしも可哀想だと思ったけどもこの子達はこの人生を歩むんだと

一人でも多く志望校に受かって欲しいと願うようになった。

もちろん落選する生徒もいてそれはそれで子供より

号泣するお母さんを見る子供の目が見たことない顔でわしが1番ショックな出来事であった。


二月の勝者という柳楽優弥主演のドラマがあるが

その中のセリフで受験とは

母親の狂気、父親の財力とあるが本当にその通りだと思う。

受験という壁に対してどれだけ宗教のように心酔できるかが、合格への道ではないかと思う。


余談だが難関校に合格しても

小学校クラスにも何度かヘルプで行ったが

受験から解き放たれた開放感から

まるで動物園状態であり授業を聞いてるものは皆無であり、先生や保護者もそれを許しているような雰囲気であった。


だが統計を見せてもらったらその後アンケートを実施し答えてくれたら生徒たちの進路はさまざまで

エリート街道をそのまま突き進み

家族が思う職業や会社に入れるのは3割程度だと聞いた。


大学まで何とかエリートで行けてもその後熱望していた会社に入れない子

学校の授業にドロップアウトする子

学校でのレベルの高さに引きこもりになる子

お嬢様学校に進んだ子は変な男に引っかかる子

卒業生の中には高校の段階でストレスの捌け口に犯罪に手を出した子がいると聞いたと別の先生が教えてくれた。

勤続が長い人が口を揃えて言うのが

まさかあの子が…。という子がほとんどであった。


人生何が正解かわからないものである。


⭐︎本日のピックアップ

ここ東京の穴場焼肉。