どうも、主宰の山田です。ご無沙汰してます。結局、このブログがオフィシャル化されたご挨拶以来の記事になってしまいました。どうもすみません。来年こそはもうちょっとどうにかします。

皆さんはどんな年末を過ごされてますか?僕はと言えば、流行りのインフルエンザA型に感染してしまいまして、ここ数日間、それはそれはもう、ひたすら家におりました。隔離療養と言ったらいいのかな。上から下からシャバシャバしたモノを撒き散らしながら、肛門からシャーって出る液体の事を心の中で「不良」と名付けたりしてましたよ、ええ。本来なら本日まで仕事でして、28、29、30、31日と今年関わったもんの総決算的な現場を全て飛ばしてしまうという有り様…関係各位の皆様には、本当にご迷惑をおかけしました。


「神様が休めって言ってるんですよ」


なんて優しい言葉も頂きましたが…多分言うてないと思います。神様、そんなん言うてないと思います。恐らく…恐らくですよ?僕がインフルエンザにかかったのは、身体が弱いからやと思います。

さて、何から振り返りましょうかね。まずは何と言っても10月の公演ですかね。焼けクソの二度焼きということで、劇団員だけで送る「日常ドラムロール」「流行パトロール」の二本立て。これ、今だから白状しますと、えげつなく修羅場でした。確かね、9月末まで映画の撮影をやってまして。当初は同時進行させたら何とかなるだろうと思ってたんですが、初めての監督ということで、もう映画の方で頭が手一杯になったんですね。「みんなすまん。映画終わるまで、稽古ストップさせてくれ」と劇団員に泣きを入れて、必死に映画に取り組み、オールアップして「ふぅ…さて舞台に取りかかるか!…ん?…あと10日後に小屋入り?…ああそう…台本はどうなってたっけ?…ん?…ドラムロールが20ページで?ほうほう、パトロールが?何?7ページ?…ふ~ん…あっそう…じゃあちょっと俺…日本一周してきていい?え?いや、自分探しにだけど、そう自転車で、あ、駄目?何?現実から逃げるな?…あっそう…じゃあ…書きます!!(土下座)」みたいな感じだったんですよ。残り10日で二本!しかも二割弱しか出来てない!しかもチケットはソールドアウトしていてどうしよう!?みたいな。そらぁもう修羅場でした。どうやって出来たのか、あまり記憶にありません。ただその近辺の自分の表情が、野獣死すべしの松田優作に似てたことだけ覚えてます。しかしまぁ、火事場の馬鹿力とはよく言ったもので、そんな時だからこそ、劇団員も鬼気迫る団結を見せ、気を使う余裕が無いから芝居も真っ直ぐ互いに要求し、なんだか迫力のあるものが出来ました。個人的には、僕が今まで書いた全ての戯曲の中で、「日常ドラムロール」が最高傑作だと思っています。これ、熱海殺人事件じゃないけど、戯曲が一人歩きしていいくらいの本だと思いますね。四人芝居なんですが、メジャーなキャストさんでやっても面白そうだし、色んな女優さんの組み合わせで、どんどんやれるかと。どなたか、企画してくれませんかね?女優だったら絶対誰もが演じたい本なんだけどなぁ。まぁ、そんな10月公演でした。長くなったので、振り返り、終わり。


一つ大事な報告をさせて下さい。


既に本人の挨拶含めて諸々手続きは終わっているようですが、この2014年を持ちまして、劇団員の若村が退団する事になりました。お客様はもちろんの事、関係者の皆様にも長く可愛がって頂き、沢山応援して頂き、感謝でいっぱいです。若村勇介。通称「ハゲタカ」。名付け親は川本兄やん。上空から餌を探している時のハゲタカのように神経質な顔をしている事からハゲタカ。皆に「ハゲちゃんハゲちゃん」と呼ばれ、初めてうちに参加する客演さんに「禿げてないよね?どっちかって言うとただのあさのぶ君の方が禿げちゃんだよね?」といつも不思議がられる若村でしたね。年齢の若い客演さんから「ハゲさん」と悪口らしき単語に「さん」をつけて呼ばれ、それを平然と受け入れやや先輩っぽく振る舞うハゲを見ていると「どんな気持ちで平然としとんねん」と突っ込みたくなるものでしたが…四年半もいたんですねぇ。うちが6年ですから、ほとんどいたんですね。もう30ですって。男では一番後輩なもんだから、いつまでも27くらいの印象だけど、そんな訳ないよな。ハゲタカだって歳を取る。僕が38だもん、ハゲも30くらいになるわな。最初に稽古場に来たのは、あれ、渉が連れてきたのかな?山田ジャパンを好きで、観客としてずっと見ていたようで、やたらと恐縮しているような雰囲気だった。普通の若者かな?と思ったのは僅か2~3日で、すぐに「ゴリゴリの変な奴」としての世界観が隠しきれなくなる若村。非常に風変わりでマイペースな、ズバリ言うと僕のタイプの若者でした。僕が溺愛しているでお馴染み若村ですから、正直くるものはあります。僕はもっとどうしてあげれば良かったのか?まぁ、どんな風に省みても、そう意味はないだろうけど…


思うに…


いつまでも、当然のように「若手」でいてくれるんだという俺の認識が、繰り返される二股の、辞める方の枝を選ばせ続けてしまったのかなぁ、とか、思うよね。一手では辞めないもんね。何択も辞める方を選ばせ続けてしまうから、辞めるというゴールに辿り着くんだと思うんです。あ、いや、円満ですよ?彼の挨拶にあるように円満退団なんですけどね…でも結局辞める、離れるという判断は、不安とか、疲弊だとか、もっとストレートなケースでは嫌悪とか、より良い場所だとか、何かしらのネガティブな感情が一時は発生している訳で。その一時をすぐにパテで埋められれば良いのだろうけど、僕は気づかずにそれを放置してしまう。徐々にひび割れていって、どこかのタイミングでパリーンと、ね。なんか、若手がしっかりしてくると、嬉しい気持ちの中に、どこか一抹の寂しさがブレンドされますやん?特に若村は照明を電気と呼び、小屋入りの日に皮パンはいてきて、マスクの代わりに髑髏のバンダナを口に巻いて仕込みするような愛おしい若手だったもんだからつい、ね。


「上手に理由を作って、それを理由に退団する事も出来るかも知れないのですけど、そういう事はしたくないから、身勝手だと分かっていますけど、身勝手なままの本当の理由をちゃんとよしたつさんに言わせて下さい。運営を支えるのに疲れました。俳優だけをやりたいです(要約)」


稽古を抜けさせての台本の印刷も、当日になっての急な曲の用意も、荷物の多さゆえ、毎回稽古に五つくらいの鞄を持ってきている事も、全て見慣れた、当たり前の光景としていた。そういう積み重ねでしょうかね。彼から誠意のあるメールが届いた頃には時既に遅し、でした。


ごめんなぁ、ハゲちゃん。


うちは少数精鋭?いや、決して精鋭じゃないな笑、少人数でやってますから、なかなか新劇団員を入れません。後輩を作ってあげられたら、もう少しは違ったかもなぁ。とか言っても、これはヒロイックになった僕のストーリーであって。僕が人に与える影響なんてのはきっと小さなもので、本人が本人の意志で選択をしとるだけの事なんですけどね。全て自分の影響で人が行動すると思い込んでいる所、痛いぜ俺!!


長くなってしまいましたが、忘年会でハゲがワンピースのサンジに習い「長い間クソお世話になりました」と言ってきたので、僕も一言「風邪引くなよ」と言いたいと思います。人生の風邪をこじらせぬよう。お前は特に、一歩それると非常にまずい人間だからな笑。頑張ってくれたハゲちゃんの幸せを、俺を含む劇団員全員が心から祈っておりますよ。


まぁ、たまには風邪くらいひいてもいい。でもな…インフルエンザにはなるなよ。おあとが宜しいよう…無理?下手?まとめ下手?え?強引?じゃかましいっ!!こっちは「不良」を我慢しながら書いとんのじゃい!!


今年一年、山田ジャパンを応援してくれた皆様、関わってくれた全ての皆様、本当にありがとうございました!来年もまた、宜しくお願い致します!良いお年を!!!


山田能龍