コバルト色の真っ青な海と白い珊瑚礁、車窓からのカラリとした爽やかな風に冷房は切ったままです。
サヤサヤと濃いみどりのサトウキビ畑がいつまでも続きます。
突然、目の前にクイナが二匹、ラッキーです。
そして、来間島で素晴らしい人に出逢いました。
国仲冨美男さん、元校長 さんで 1㌶ の畑に古くから宮古に伝わる在来種の小麦と大豆を昔ながらの農法で、農薬、化学肥料など使わずに栽培、手刈り天日干しで脱穀もしています。
私も電動石臼で小麦粉にしたものを頂きましたが、アレルギーやアトピー症にいいとかでぼつぼつと注文も来ているそうです。
5年前イタリアのトスカーナでアレルギーにならないと言われる古代小麦スペルトを頂きましたが、日本の島にも昔から受け継がれている古代小麦があるのではないでしょうか。
その小麦粉で奥さんが天ぷらを揚げていただきました。
懐かしい、私が子どもの頃の五島でのおふくろの味を思い出しました。
在来種の大豆は小粒ですが 私の直感では納豆にすればすごく美味しいのではないかと思いました。
宮古島では大豆は麦を栽培した後にすきこむ緑肥として使われていたそうです。
黒千石(小粒黒大豆)も北海道で昔、馬肥やしとして家畜の餌でしたが、今では全国で作られ品種登録もされています。
幸い沖縄県は昨年種苗条例を成立させて伝統的な在来種を発掘調査しで保存管理するとなっています。
大手の種子化学企業から品種登録される前に、県がこのような麦大豆の品種を公共の種子として登録し、食料安全保障のために奨励品種として作付けを助成して、自給率を達成すべきではないでしょうか。
先の大戦で沖縄の住民の4人に1人は犠牲になったとされていますが、宮古島では戦闘による死者よりも、米軍に湾を封鎖されて餓死者の方が多かったと聞いています。
これから心配される台湾有事のことを考えれば尚更です。
私はかつて農水大臣時代に 一度だけ宮古島に来たことがありました。
農水省の砂糖基金(特別会計)の700億円の赤字解消のために、サトウキビ 農家への補填金をいくらかでも減らせないかと現場の声を聞きに来たのです。
その時に90歳になるキビ農家のおじいが補填金を減らされたらキビ栽培ができなくなる。そうなれば私は健康を維持できなくなり、特別養護老人ホームに入ることになると。
そうなれば国は私の為に40万円を負担してよと諭されたのです。
私はキビ農家への補填金を据え置いて、赤字負担を製糖会社と急増している異性化糖を輸入している会社にお願いしたのです。
その時、農家の皆さんにいつまでもサトウキビに頼るわけにはいかないから、麦、大豆の栽培が考えられないかと言い残して宮古島を去ったのが忘れられずに いました。
今回、在来種の小麦と大豆に出会えて、これを 有機栽培することによって、島の農業活性化になるのではと真剣に考えました。