厚労省、環境省、消費者庁は2019年にゲノム編集技術は遺伝子組み換えと違って他の生物の遺伝子を組み換えて入れることはなく安全なので、審査手続きは要らないと決定しました。
 
しかもゲノム編集食品は自然界の突然変異と変わりないので表示も必要ないとしたのです。

 

しかし前回詳しく述べたように、他の生物由来のマーカー遺伝子を含む細胞は必ず残るのです。

ゲノム編集学会会長の広島大学の山本卓教授も河田さんに必ずマーカー遺伝子を除去しない限り安全でないとはっきり語ったとのことです。
 
確かに理論的にはこれらのマーカー遺伝子をなくすには戻し交配があるそうです。

しかし戻し交配はこれまでの品種改良と同じで交配しては選別を繰り返すために長い期間と多額な費用を要するので、実用化は難しいとのこと。
 
現在世界的にも成功したのは聞こえてきません。
 
例えば江面教授達の開発したGABAトマトも新聞の報道では年内に流通されると載っていましたが、マーカー遺伝子が残っているので安全とは言えないのです。
 
私は昨年、カリフォルニア大学の遺伝子組み換え、ゲノム編集の世界的な権威であるチャペラ教授からもゲノム編集による角のない牛の話を伺いました。
 
角のない牛は、畜産農家にとって安全性向上のために求められています。
 
しかしゲノム編集による角のない牛には抗生物質耐性遺伝子が認められ、戻し交配しても残るので実用化は断念されたようです。
 
厚労省の、突然変異と同じなので区別がつかないから表示できないとの主張について、河田さんは次のように反論しています。
 
ゲノム編集食品には必ずマーカー遺伝子が残るので、調べれば直ぐに区別はつくため表示ができると。
 
さらに自然界の突然変異は一個だけの遺伝子が変わるだけだが、ゲノム編集による場合は並列的に数個から20個の遺伝子の配列まで変わるので区別はできると。
 
このようにゲノム編集食品についても調べれば必ず表示はできるのに厚労省は国民を騙していることになります。
 
それだけではありません。
 
厚労省はさらに、ゲノム編集食品は安全なので生産者からの届出も必要ないと決定しました。
 
鈴木宣弘教授の話ではこれには消費者庁もかなり抵抗したようですが、結局はアメリカの要求で官邸に押し切られたそうです。
 
EUでは司法裁判所で、ゲノム編集は遺伝子組み換えであるとして同じ扱いをしていて、日米を除いて各国とも厳しい規制をしています。
 
ゲノム編集の世界的な権威チャペラ教授は、ドイツ銀行からゲノム編集への投資の相談があったそうですが、最近投資を断念したとの連絡があったと語りました。
 
またゲノム編集を容易にしたCRISPR-Cas9も一時はAI に次ぐ画期的な技術としてもてはやされましたが、最近になって問題点も指摘されてきました。
 
癌の抑制遺伝子として知られているp53の遺伝子がCRISPR-Cas9の効率を悪くするので、p53を先に破壊するためゲノム編集では癌にかかりやすくなるようです。
 
何よりも、CRISPR-Cas9の技術を開発したダウドナ教授自身が次のように述べています。

https://www.technologyreview.com/…/crispr-has-made-jennife…/

さらに共同開発者のシャルパンティエ教授も、ゲノム編集は生物兵器に使われる恐れがあり原子力と同様国際的な規制がどうしても必要だと警告しているのです。
 
チャペラ教授も昨年話を伺って、お礼にと私が長崎の平和の鐘のミニチュアをお渡ししたら、深々と私に頭を下げて次のように述べました。
 
あの原子爆弾はうちのバークレー校で作ったもので、日本に対して大変申し訳ないことをしました。
 
その後に、ゲノム編集はまさに核兵器と同じで、人類に大きな被害を与えることになるでしょうと。
 
こうして考えれば、私達はゲノム編集食品についても、現在日本では野放しにされていることをそのまま放っておくわけにはいきません 。
 
私たちは規制を求めてすぐにでも動き出さなければならないのでは。
 
愛媛県の今治市が食と農の町づくり条例で市の承諾なくして遺伝子組み換え農産物を作付した場合には、半年以下の懲役、50万円以下の罰金としているように。
 
まず私たちの住んでいる市町村で条例を制定して、遺伝子組み換え食品と同様、条例でゲノム編集農産物の作付や流通を規制することができます。
 
地方自治法、地方分権一括法では国と自治体は同格です。
 
泉佐野市のふるさと納税についても国と裁判で争って最高裁で泉佐野市が勝訴したのです。