農水省は 登録品種は一般品種に比べて10%しかないので 自家増殖禁止になっても 影響はない と。

北海道ではコメの 生産農家の88%が 登録品種を栽培 していることを認めたものの コメ農家は毎年種子を購入しているので問題ないと説明しました。
 
しかしこれは事実に反しています。
 
実際には登録品種ゆめぴりか、ななつぼしを自家増殖している農家がかなりいます。

今回の 北海道は 原村政樹映画監督と一緒で 種子と種苗の映画、 タネは誰のもの仮題の 撮影もの兼ねています。
 
当麻町のグリーンライフ代表 瀬川守さんもその1人で、以前からの私の親しい仲間です。
 
瀬川さんに北海道の登録品種であるゆめぴりかを自家採種し、有機で耕作している水田に案内して頂きました。
 
さすがに北海道でも有数の稲作地帯、辺り一面広大な水田でちょうどゆめぴりかが勢いよく根を張り始めたところ。さわやかな風が吹き抜けています。
 
瀬川さんは登録品種であるゆめぴりか、ななつぼしを毎年500Kgほど自家採種しているので、種苗法が改定されれば全てを毎年購入しなければならなくなり、約40万円の負担になります。
 
しかしこのままでは、それだけでは済まされなくなります。
 
既に成立している法律によって、いずれ北海道のゆめぴりかの育種権利を民間企業に譲渡せざるを得なくなります。(農業競争力強化支援法8条4項 参照)
 
種苗法改定案ではAからBに育成権利者が変わった場合、農家がAと交わした契約をBが引き継ぐことが予定されています。

農水省のアンケート調査でも契約している農家はほとんどいないので、多国籍企業の言いなりになります。 
 
既に三井化学のコメの品種みつひかりのように、種子の代金がコシヒカリの10倍になれば瀬川さんは少なくとも400万円の負担増になるのでは。
 
瀬川さんは他にも60ヘクタールで、麦、大豆、小豆、そば、トマト等を栽培しています。一部ではあるものの自家採種を続けているので心配になります。
 
当麻町でもう一人伊藤和久さんが谷間の小さな田んぼでひっそりと、登録品種ななつぼしをもう13年も自家採種を続けて無肥料無農薬で栽培しています。
 
収量は慣行栽培に比べて半分しかないものの、その味はこれまでのななつぼしとは比べられないほど美味しいとかで、13年の間にその土地伊藤さんにあったような品種に変わってしまったのでは。

石川県のはくい農協でも、コシヒカリを10年ほど作り続けて更に美味しくなったとして、このような場合を農家は品種が純化すると言っているようです。

種苗法が改定されると、伊藤さんがこのままななつぼしを栽培続ければ刑罰の対象にもなります。
 
彼は23年前に30歳で新規就農を目指して移住、瀬川さんのもとで2年研修を受けて自立、失敗を繰り返しては凄惨な目に遭いながらも 夫婦でしっかりと頑張っています。
 
彼からハウス栽培のトマトを見せていただきましたが驚きました。
 
普通のトマトの3倍ぐらいの茎の太さで、がっしりとまるで木が生えているように突っ立っています。
 
彼は当初有機の堆肥を入れて失敗、試行錯誤の末収穫を終えたトマトの葉茎を裁断して緑肥として使うのみにし、10年かけて成功、連作障害も乗り越えたそうです。
 
トマトの品種はマイロックですが、今ではすっかり変わってしまっているそうで、彼がトマトの声を聞きながら新しいトマトの品種を仕立て上げたのでは。
 
収穫ができたら是非食べさせて頂きたいと発注いたしました。
 
また一人農の哲人に会えて、種苗の奥深さに感動した1日でした。